老いのひとこと

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   此の木何の木気になる木

ぐるっと一巡しナデシコが丘の横手の民家の庭先にわたしの背丈にも満たない灌木の一つが異様な臭いを放ってわたしを誘き寄せる。

今や花の時季を終えて散り果ててしまったのだがせめてお名前だけでもお伺いいたそうと色々図鑑など開いて調べるがついぞ根負けしたようだ。

異様な臭いとしか表現できない。

くちなしの花とか金木犀のような気品あふれる高貴な香りとはまた違う、かと言って堪えがたき悪臭では決してない。

言葉では一種一様には表現し難き異様な臭いとしか言いようがない。

解らぬままに決して不問に付したくはないしその気はない。

その内必ずや名前を解き明かしましょうことよ。

わたしの頭の体操は此の程度のレベルなのであります。

 

 

ふと朋友の正明兄のお顔が浮かんだ。

そう云えば暫しご無沙汰中だ、顔を出さねばならぬ。

 

 

 

老いのひとこと

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皆さん方の畑の敷地のど真ん中に一本の姫リンゴの木がある。

持ち主は不明だとみなは云う。

もはや野生化した姿で自活し秋には小さな果実を実らせるが誰からも顧みられる事はなかった。

去年の晩秋のころわたしは喜び勇んで幾何かを摘み取り姫林檎酒に仕立てた次第だ。

りんごの花ほころぶのは今少し先のようだが新緑が今年も萌えいずる。

ふと覗えばちょいとした異変に気付く。

幹の一本が見事に折れている。

ところがどうしたことか若芽が吹き出し生きている。

枯死するはずの枝にも若い命が宿っているではないか。

しげしげ観察いたせば間違いなく真っ二つに折れ裂かれてはいるものの辛うじて樹皮一枚を残して繫がっているのだ。

樹液が此の奇跡のパイプを伝って流れていたのです。

首の皮一枚で命を長らえている神々しい光景が目に入ったのです。

偉大なる自然界の生命の摂理を目の当たりにし無類の感動を受けた。

 

本来なら然るべき樹医に委嘱いたさねばならぬところだがそっと支柱を添えることに致しましょう。

 

 

老いのひとこと

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6時半からのラジオ体操も生活の一部分になりました。

おのれを律することに重きを置いて雨の日以外は日参する。

皆さん方の大きな携帯ラジオの音にもわたしの聴力は反応しないので仕方なく持参の小型ラジオの前で事を為す。

或る日のこと古参のヨーさんが語られるには近隣の住民より苦情が出てボリュームを極端に絞った所為か聞こえが悪くなったと盛んに口説いて行かれた。

コロナ禍に拍車を掛けるように朝っぱら早々よりラジオの音がガンガン鳴ればいら立つ御仁が居られても仕方がないのかも知れない。

深夜まで勤務なされたり病床に伏していられたり徹勉の受験生も居ようこと、確かに年寄りの特権を振り撒き固持するばかりが能ではない。

賢い聞き分けの好いラジオ体操老人愛好会の面々で在らねばならないはずだ。

お互い様を口にする先に何よりもお互いに譲り合う気持ちこそ大事けれ。

年寄りこそ謙譲の美徳を身を以って発揮し其の規範たれ。

 

 

老いのひとこと

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年末の12月と年度末の3月には恒例となったタイヤチェンジに勤しむ。

今年は特にわけもなく桜の便りを聞いてからになった。

冬タイヤにおさらばし新しい気持ちを乗せてスタートいたしたい。

幾らだらだらした張りのない生活と云えどもせめて年度の始めだけでも心機一転いたさねばならない。

精々が週に一度の鶴来街道を走行するに過ぎぬがわたしには必需品になる。

何の恥じらいもなく地べたに座り跪き両の膝を着いた跪坐の姿勢でタイヤを持ち上げ四穴に同時にボルトを差し込めねばならない。

今や此の齢になれば一角の熟練工と相成りました。

此度は四輪共に一発で填め込みに成功しました。

独力で達成し此のわたしには自助努力が功を奏したことになる。

 

老いのひとこと

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南が丘病院の玄関先に球状のカプセルが

設置され発熱外来患者さんの隔離病棟になっているらしい。

よく中を覗き込んだりするが未だかつて一度も人の居る気配はない。

そして、いつも思い出すことではあるが

相当大昔のころ太陽燈照射と銘打って同じようなカプセルの中に収容されたことをまざまざと思い返すのです。

兎に角素っ裸だったなあ、フリチンだったかなあ記憶が定かではない。

女子も同室だったかもよく覚えてはいない。

此の中に入れる有資格者は不本意ながらも骨皮筋右衛門だけでありました。

著しい虚弱体質者だけでありました。

小学3年の担任の先生の通信簿のコメントに栄養不良で滋養物摂取―スキキライセズヨクカムと書き残されるが好き嫌いする以前に口にする食物がなかった。

滋養物どころか何もないまさに飢餓状態であったのです。

担任の石田先生は其れを百も承知の上で上手に繕って表現してくださった。

虚しい心情を理解してくださる立派な先生で在りました。

太陽燈のお蔭で此の齢まで生き永らえました。

宇宙カプセルを横目で追いながら今日も歩いて参りました。

 

 

老いのひとこと

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春先の此の時期にはブロッコリーには花芽が開花し賑やかだ。

とにかく小さな脇芽が次から次へと吹き出し採っても採っても喰べ切れない。

ビタミン豊富で栄養価満点で云うことなしだ。

 

雪捨て場の雪の下で喘いだネギの苗ももうすっかり息を吹き返し元気そのものだ。

季節外れのネギの定植に精を出す。

薹が立つのを覚悟の上でミゾを掘る。

農作物は余程のことがない限り決してわたしを裏切らない。

必ずや報いて呉れよう収穫の悦びが待っている。

 

老いのひとこと

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今日の新聞を見れば堤伸輔氏が来沢され懇話会にて講演なされたという。

前以って案内を受けておれば是非とも拝聴致してみたい好人物の一人であった。

滅多とお目に掛かれない絶好のチャンスを見逃しとても残念に思う一方、何ゆえ広く読者に告示し遍く流布しないのか関係筋へ問い合わせればなんと対象者は法人資格を持つ者のみで年会費12万円が必要との返答にガックリ悄気返ってしまった次第だ。

併せて収録テープなどあれば提供して戴きたいと願い出たが此れも却下された。

天下の東京新聞の系列紙にしては余りにも閉鎖的すぎはしまいか。

大衆に門戸を開けばきっと購読者拡張策にもなりはしまいか不思議でならない。

 

複雑な世相を単純明快に恰も竹を真っ二つに切り裂くように解説なされる才識の持ち主で在られる。

物事の本質を素早く手際よく、より簡潔にしかも大胆に聴く者たちに披瀝なされる。

世に数多のコメンテーターがいる中で此のお人の右に出る人はいない。

惜しいことをした。