自粛生活が当てどもなくつづき自ずと私流の生活様式も定まりつつある。
不要不急が頭にこびり付き閉じ籠りが発散の機会を奪い去った。
元々寡黙だ、口数は極めて少ない。
それが馴れっこで当たり前の生活様式ではあったが唯一貴重なる発散の機会がわたしには在ったのでバランスがとれた。
それが鶴来道場での日曜会稽古であり有らん限りの声量で奇声を発することが赦された。
此の奇声は饒舌に匹敵する。
寡黙と奇声がわたしに平衡感覚を保てた要因になる。
即ち、自粛要請がわたしのバランス感覚を狂わせていた。
その都度その都度、相互の禮には手加減なしに喚き散らした。
充実感と充足感を無償で得ていた。
其の週に一度の発散の機会を失っていたのです。
或る日、自転車を漕ぎ出し額四峠でペタルの踏み込みと同時に奇声を発してみた。
誰もいない、車両が疾走するエンジン音を打ち消すように有らん限りの奇声を発す。
巧いことにわたしの生活様式に平衡感覚が寄り戻されつつあるのです。