現役のころには安いっぽい見栄を張って庭師さんに冬支度をお願いした。
処が今やお構いなしで枝が折れようが枯れようが全くの無頓着で完全に落ちぶれたものだ。
無用の長物と化した竹竿だけは物置に隠されていた。
廃物同然だが活用の手立てがあることに気が付き手を叩く。
早速、合掌造りの支柱立てに取り掛かる。
地中に深い深い穴を掘り差し込めば事が済むはず、至って簡単ではないか。
ところが矢張りおいそれと問屋は下ろさない。
それもその筈スコップの先に異物を感知、石ころが邪魔をする。
取れども取れども幾重にも敷き詰められる。
愚痴を吐き癇癪を起しながら6本の竿を地中に埋め込んだ。
6箇所全てで石ころとの格闘が執り行われた。
労作に苛まれつつ推理した。
つまりは此の畑地の真横に高橋川が流れる。
河川改修以前の太古の昔には此の辺りに川筋が在ったに違いない。
むかしの河川敷に盛土をして畑地造成を為したに違いないと理屈づけた。
穴を掘り石ころの隙間より鉄の棒を木槌で打ち込み其処へ竹竿を捻じ込んで支柱を立てました。