額新町交差点のすぐ横手で重機が入って地ならしをする。
頑強な鉄筋コンクリートで囲まれた異様な建造物が剥き出しのままだ。
好奇心丸出しにして工事関係者にあのコンクリートの壁は何なんでしょうかと問い掛けた。
思いの外好意的に接して呉れるではないか。
その方の説明によれば、此れは嘗て昭和40年代の頃の額団地全域に給水した電動給水ポンプの格納庫だったのだという。
金沢市郊外の此の地には未だ上水道の設置がなく地域ごとに掘削し地下水を汲み出し生活用水に供したという。
県営アパート市営アパートを含むマンモス団地の高層階まで給水可能な高性能ポンプが此の中に安置されていたことになる。
高度経済成長期に此のマンモス団地の住民の命を支えた給水ポンプ棟が今淋しく幕を閉じようとしている。
誰一人として当時の名残を知る人物が見守ることなく地中に埋没されて往く姿は侘しくも儚い。
その翌日覗えば跡形もなく整地されていた。