昭和11年発行の戦役画帖「御国の誉」がある。
恐らくわたしの父は我が子たちを御国に役立つ立派な軍国少年に育つように願いを込めて買い求めたものに違いなかろう。
とにかく徹底した戦意を鼓舞し高揚させんがための戦争讃美の画集なのです。
著名なる画家が画筆を執り実に克明にリアルに生々しい戦場を見事に活描しているのです。
自ずと戦意は高まる筈ではあったが心身共に脆弱な末生り育ちの此のわたしは両親の篤い想いを裏切ってしまっていた。
もっとも戦争はわたしの9歳小4の年に敗戦を迎えたので戦役からは免れたことになる。
そんな代物が書架の奥から見付かったのです。
廃物同然の古色蒼然たる画集には過ぎないがわたしには異常と思える愛着心が燃え上がる。
せめてページだけでも整えようと目次を捜すが無い。
それで一策を講じて泉野図書館を訪れたが無いという、県下の全館にも無いと連れない。
哀願致せば北海道立図書館に秘蔵する一冊を取り寄せるとのご厚意をいただいたのです。
先日泉野まで出向き其の目次と照合しながら懇ろにページを整えた。
欠落ページは一枚だけでほぼ完結したに等しい。
有り難かった。
多くの職員さんのご好意に感謝申したい。
目下のところ孫たちの中に関心を寄せて呉れそうな人物は見当たらない。
かと言って古紙回収だけは御免被りたい、わたしと一緒に燃す以外今のところ手がない。
又しても性懲りもなく北鮮ミサイル基地を叩くための敵基地攻撃能力を装備しようと密かに爪を磨くではありませんか。
愚かしく思えてならない。