老いのひとこと

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もう直ぐ消え失せる者がおのれ亡き後に残されし者たちに煩わしき手数を掛けないようにと目下取り急ぎ身辺整理に当たる。

分けても山積みの雑書の類を分別する作業に熱が入る。

読んでみようと買い求めはするが終ぞ読んだ試しがなかった。

積んで置くだけの模範的積ん読読書家に違いがない。

呆れたものだ、何んという終生の悪習をば習得いたしたものか。

 

 

金石時代に知友より譲り受けた1958年に国際文化情報社が発行した「画報近代百年史」全18巻がある。

同じく同社発行の「画報千年史」全20巻にはどうしたことか別れがたい思いが籠もる。

今まさに消え去る身が此の画報の破れを補修し綴じ代に製本テープを宛がう姿が其処にある。

朽ち果てしよれよれの直ぐにでも廃棄して然るべき書物を狂ったように修理する。

異常な光景に違いない。

此の画集に命を繋いで知識習得に飢える向学心に燃え盛る何者かに此れを分与いたさねばならない。

そのような妄想が沸々と湧きいずる。

やはり此れ異常としか言いようがない。