老いのひとこと

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      無断掲載

スマートフォンを弄くっていたら法定の形が画面に映った。

これ幸いとちっぽけな画面に喰い付いた。

演武者は石井猛・井上豊とある。

無論、解説はなく流儀に則る礼法から徐に一本目「八相発破」へと場面は移りゆく。

水を打ったような静けさの中に激しく木剣が打ち合う衝撃音と両者が発する裂帛の気合「ヤエイ」の叫びが場内に鳴り響く。

打太刀が先導し仕太刀が遅速なく此れに準じゅる。

見事なる熟練の演武ではあるがご両名のご芳名や功績等については知る由もない。

恐らくは剣道の高段者とお見受け申した。

ただ惜しむらくは「上半圓」に際しては両者の阿吽の呼気と吸気が静寂を破って場内に充満して然るべしとわたしは思った。

恐らくは収音装置が不備だったのでありましょう。

それ故に此の演武の最大の眼目たる絶体絶命の瀬戸際から起死回生の蘇生に導き入れる古流の神髄を演出するにはやはり阿吽の形相の場面をぜひ見せて欲しかった。

しかも不備であるはずの収音装置が場内の私語らしき微かな雑音を収録していたことは此れ遺憾と致さざるを得ない。