2021-08-29 老いのひとこと 身辺整理に精を出すと言うよりも家内に尻を叩かれ不承不承手足を動かす。 ガラクタの類を縁側に放り出されれば動かざるを得ない。 見れば見るほど我ながらウンザリする。 うんざりしながらも昔の釣り具一式を手にしながら愈々孫への譲与の時が来たことを実感する。 見るほどに此の常軌を逸した夥しさに我ながら息苦しさを覚える。 まるで盗品が山と積まれたかのように出るは出るは次から次へと際限なく繰り出す釣り具の山にビックリだ。 各種サビキ仕掛けに加えて手製のサビキ針で仕込んだ秘蔵の特製品までもがお出ましだ。 分けてもハリスを結わえる前の裸の釣り針がワンサワンサで我が身の異常さに遂に戦慄を覚えた。 此れは真面ではない本務をそっちのけにして漁労長に執着した何よりの証拠物件になろう。 かれこれ50年以上むかしの偽らざる、此れぞおのれの裸の実像が炙り出されてしまったことになる。 新品同様の未使用品には違いないが譲り受けた孫は目を白黒させ後ずさり致すことだろう。 引っ張っても千切れはしないが劣化の度合いは遥かに限度を超える。 廃棄しかない。 孫と共に再び釣り糸を垂れる淡い望みは此の時点で以って断たれてしまいました。 寂しいことになったなあ。