老いのひとこと

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   無断掲載

筑波同門の後輩星子が先輩林田をくだした。

NHKは高速度カメラを駆使して克明に両選手の一挙手一投足を捉える。

林田選手が面を着装する。

一流選手の其の仕草には命を賭す戦を前に精神を昇華させる貴重なる一瞬でもありましょう 。

細心の注意を払いながら万全期す。

面紐をハシッハシッと締め終えてから最後に確認のため左右の紐の位置に手を遣り二本の紐を密着させる。

何故かしら林田選手は其れを為すことがなかった。

熟練の域にある一流選手ゆえ其の必要がなかったのかも知れません。

わたしの目に狂いがない限り二本の面紐の間に僅かばかりの隙間があることに気付いた。

此の僅かばかりの隙間が相方に隙を与えてしまったとわたしはみた。

星子選手は或いはひっよっとして其の隙間を見取っていたのかも知れない 。

星子は其の隙を攻めた、林田は其の隙を攻められたのかも知れない。

それほど此の仕合は両者の実力は伯仲していたとわたしは言いたいのです。

 

試合を終え面を取り両者正座のままお互いの礼を交す際の星子選手の目線が相方林田選手に確と注がれ「有難う御座いました」との謝意がありありと籠められているのを見て流石だなあと感心した。