老いのひとこと

 

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ある日の出来事、突然ふなださんが訪れ今から菊水の里へ出向くけど同行しないかと誘われる。

勿論、拒む理由は何処にもない有難きご厚意を素直に受け入れ同乗した。

小原を過ぎ兜山の山影がダム湖の水面に揺れる。

所どころに色付く紅葉が一際浮き立つように鮮やかだ。

銀杏並木の素晴らしき黄金街道をひた走る。

堂を過ぎれば巨岩巨石の配置の妙を際立たせる大自然の造形美を堪能する。

さらに進めば廃村集落にて都会人らしき人物に遭遇する。

よくよく拝顔いたせば何んと六十有余年むかしの光雄君の童顔と重なり合った。

当時の面影がありありと今に留めおる。

固く握手を交わし息子さんのお嫁さんにシャッターを願い出た。

孫たちに取り巻かれ至って幸せそう。

彼も初老の域をはるかに超えて最早高齢者への仲間入りとは隔世の感を改めて強く致すのであります。