老いのひとこと

次男の愛犬クーバーが急逝したとの報に接す。

毛並みのしっかりしたシベリアンハスキー

で貴公子のような風貌からして男前の犬だった。

また馴れ馴れしく尻尾を振ってじゃれつく軽はずみな態度は決して此のわたしには見せることはなかった。

本来ならば勇猛果敢にして沈着冷静な猟犬として大雪原を疾走する其の資質を十分に兼ね備えてた名犬で在ったのであろう。

 

嘔吐の症状から医師から入院治療を勧められた其の矢先に病状が急変したのだと云う。

付き添い看護は敵わず主人の居ない病室に耐え切れずに死期を速めたのかも知れない。

 

 

曹洞宗の古刹「高安軒」にて懇ろに弔う場面に同席したが其処はやはりペット葬だけに在りし日の愛犬との尽きない思い出を参列者にも共有させようと手摺りの経文を唱和させられるなど手の込んだ手法には感心させられた。

僧侶だけが一方的に執り行う一般葬儀とは趣きを異にする奇抜さが目立った。

 

亡骸に別れを告げる人間の心情を美しく昇華させしかも見事に演出してくれた。

 

思い返せば丁度10年前の2012年8月31日に我が愛犬リリーを此のお寺の先代住職さんに葬って戴いたことを思い出した。

 

クーバーのお蔭でリリーの命日を思い返すことが適った。

犬と人間との関わりは太古の昔から在ろうけど今改めて此の両者の深い深い絆を今更のように想い知らされたのです。