老いのひとこと

素焼きの段階では「大割光琳鬼蔦」の反り具合は差ほど目立つほどではなかったのだが本焼き窯出しで目にした其の様は落胆の淵に落とし込められてしまったのだ。

懸念していた不安材料が物の見事にドンピシャリと来たではないか。

此の見事なる反り具合はあっ晴れと言うしかない。

ただ幸運にも上下左右ほぼ均等に反ってくれたようだ。

不遇なる生誕ではあるが活かす手は在ろう筈だと確信した。

早速ハードオフ店にてサイズに見合う額を物色する内に漸く満足度は30点ばかりの品に行き着いた。

此の300円の額縁にお似合いの陶板家紋を如何にして演出すべきか考えあぐんだ末、先ずは額本体の色合いと同系統の弁柄を敢えて中央部に据えて縁取りも同じ弁柄にした。

弱々しい主体を少しでも浮き上がらせようと背景に黒地の布を配置してみたのだが此れみな色弱者が為せる業。

 

果たして額に負けずに反りし陶板が少しは浮き立つように見えるようになったであろうか。

甚だもって心許ない次第だ。