老いのひとこと

大阪の孫たちから暑中見舞いが舞い込む。

開けてびっくり玉手箱のように一瞬白髪のお爺さんではなく真逆に丸坊主のハゲ頭に白髪が生えて来たではないかいね。

半切紙に特筆大書された作品が飛び出し此れにはビックリ仰天だ。

暑い最中、暑気が何処かへ取り払われてゆく。

これ程の清涼剤はない、部屋に飾り目で愛でながら冷たいビールを呑み干した。

実に圧巻だ、お見事だ、いずれも優劣つけ難し。

塾にて学び居り既に有段者にして或いはひょいとしていずれは書道の大家に成らんとも限らないぞ。

 

早速、老輩はそそくさと墨汁を取り出し筆を執り渾身の力振り絞り一気呵成に書きなぐる。

孫たちの重厚なるどっしり感乏しく如何にも貧弱で線が細い、当り前なことながら先が短く案じられましよう。

でも孫たちと肩を並べることが適って至ってご満悦なのだ。