老いのひとこと

前線が通過し風こそ止んだが又々相当の降雪量に見舞われた。

おまけに雨気でずっしりと重い全く始末に困る。

上っ面をスコップで掬い側溝へ投げ捨てる実に手間が掛かる。

腰を労わりながらも左右のバランスを取りながらこれでもかこれでもかと際限なく戦いは続く。

ただ旨いことに降らずに済んだので助かった。

尤も車道には轍こそ覗えるがみな底を擦りながらの蛇行運転だ。

車数こそそんなに多くはなかったがスムーズに通り抜けていたが堀高T字路でタクシーが対向車を避けようとして立ち往生、何んとか脱出をお手伝いする。

ドライバーが一礼し前方の道は大丈夫かと聞く。

突き当りを右折するよう促せば立ち去ったのだがどうしたことか直線道路でエンジンを吹かし居る。

見るに見かねて角スコ持参で直行すれば何んとアルミ製のスコには驚いた。

プロが北陸の雪道に余りにも無防備すぎはしまいか。

更にはハンドル操作が今一だ、深みに車輪を落とし前輪の向きを正さず遮二無二エンジンを吹かす。

 

ハンドルを切ってと此方が諭す有り様、石川交通のプロドライバーかと首を傾げる。

対向車が一台待機したまま動かない、止む無くわたしが労を執ってバックを促し迂回させた。

30分は掛かったであろう漸く脱出が叶い頭をぺこりと下げ立ち去った。

困りし人に援助の手を差し伸べることは人として当たり前のことに過ぎぬ。