老いのひとこと

縁起でもない話ではない、行き着く帰着点に過ぎない。

 

 

本来なら長男が継ぐべき高橋本家のお墓を何かに託けて三男利治に任せ切って半世紀以上の年月が流れた。

ところが今此の時点に至って利治家のお家の事情で娘婿の相続が敵わぬ事態に陥り急遽わたしへ引き継いで欲しいとの断っての依頼が入ってしまったのだ。

 

戸惑いもしたがそうならば子のない次男に頼み内諾を得るまでに話が進んだのだが本人より筋を通せば親爺が継ぐべきとの進言を受け話はとんとん拍子に纏まった次第だ。

わたしが新規に作ったわたしの墓は次男が引き取る形で此の案件はすんなりとケリが付いた恰好だ。

本家のお墓へはわたしから長男へそして一番孫へと繋げれば良いのだが只わたしの墓を継いだ次男は一代で途絶えるのも詮無い事ゆえ敢えて大阪の三男に継がせて然る後に分骨したものを大阪へ移転させれば高橋家の先祖の霊は此処金沢と大阪の地の両方で祀られましょう。

そして野田山の頂上にある正純の墓は墓仕舞いして幕が下ろされましょう。

敢えて申さば次男らの遺骨は丁重に本家の墓へ分骨されねばならない。

また当然ながら正純の遺骨は正純の墓へ分骨して入れる。

此れにて当家の墓相続は万事万端きれいに整いました。

高橋家の次男鉄二家の順子さんにも確と了解を執らねばなりません。

 

なお利治夫妻は野々市市が設ける「樹木葬」への埋葬手続きを既に完了したのだが全く当然なることながら利治夫妻のお骨は分骨して正純が相続せし高橋本家の墓にて共々眠って戴くことに相成りましょう。