老いのひとこと(51)

妙典寺に鎮座する津田半山の墓は儚くもか細き血縁の糸は無情にも断ち切れた。

母方の曾祖父に当たる近吾の腹違いの兄と思しき津田近三は何と事もあろうに彼の成瀬正居の弟君で在られた。

津田本家に養子入りした近三は養父津田和三郎を尊崇の念で祀り上げ奇なる巌の墓に葬った。

しかし能々考えて見ますれば此の巌のように切立つ此の墓石には少なくとも

*津田清三郎

*津田音五郎

*津田乙三郎正矩

*津田正隣

*津田正直

*津田玄蕃=津田正邦

*津田和三郎

並びに

*成瀬掃部の娘二人

*成瀬正居

*成瀬近三=津田近三=津田十之進

 

以上十一人の人物の霊魂が間違いなく宿り居ることを今更のように思い起こした。

 

 

妙典寺住職様に読経の一つでも戴けないものかと先日ご挨拶に参って来ました。

 

 

今枝家とも関わりを有する此の成瀬家の墓を暴き文献を紐解き史的価値を発掘なされる逸材の輩出在らんことを希う。

 

また是非とも「成瀬日記」の中から今枝家と成瀬家の相関図を炙り出したいものだがどうも至難の技のようだ。