老いのひとこと

寝ぼけまなこの迷い蜘蛛、真冬とは思えぬ温かさ、ついつい冬眠どころではなかろうと、這い出しおった。

洗面所の流し台に現われた。

余程喉が渇きおったか美味そうに水溜まりにへばり付く。

したたか呑んだか、やおら動き出す、元のねぐらを探しおる。

排水溝を覗きおる、よしよし待てよと流し込む。

手荒な処置で相済まん、行き着き流れ着き安住の地、水のかからぬ好き場所を、新たなねぐらに休み給えよ。

蜘蛛くんよ。

間もなく大寒波が来るとやな。