老いのひとこと

鼎(かなえ)と称する古代中国で鍋や釜として用いられた土鍋の類で通常大きさは高さ1メートルに達するものもあるという。

大阪の三男坊からプレゼントされた信楽土での記念作品として鼎に挑戦してみた。

わたしにすれば難易度は最高位になろう。

直方体の4枚の側面と底面のたたらを裁断し繋ぎ目を斜めにカットするまでは兎も角として問題はそれらを組み立て直方体に仕立てて行くのが大変だ。

専用の木枠などある筈もなく紙箱を代用にする。

一晩経過した半乾燥分作業は辛うじて成り立った。

繋ぎ目はヒモで補強し指で押さえた。

一心不乱無我夢中のお仕事だった。

崩れて崩壊する危機との戦いであった。

ピリピリした神経戦が延々とつづいた。

四脚を固定し仰向けにして様子を暫し覗い次いで本体を横向きにして取っ手を付けた。

四本の脚が重さで脱落すのを恐れた。

布切れや新聞紙で隙間を塞いだことが効を奏してもげずに済んだ。