老いのひとこと

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暫し英気を養って来ようと旅に出たのだが全然ダメだった。


治り掛けていた咽喉風邪を返って拗らせてしまいゴホンで始まり五本六本で終わった様なものだ。


咽喉がヒリヒリ焼けるように痛い、


唾をも嚥下できぬほどだから物を食べても全く味がしない。


痛さの余り含嗽もままならず耳鼻科での処方薬もトローチもわたしの体質とは反りが合わなかった。


一たび咳きの発作が始まると止み已まず大都会の満員電車の中顔面火照り脂汗たらたらと居辛い思い一入だった。


咳き込む時は所構わず大っぴらに思い切りよく発散させればよいものを傍への迷惑を考えて中途半端にセーブしようと努めたことが返って災いしたようだ。


かましく図々しく在れと思うが都会の人混みと人熱れに圧倒される一介の田舎者に過ぎなかった。


 


実は、今回は胸に一つの蟠りを宿しながらの旅でもあった。


大阪に二連泊したのだが本来なら息子のマンションを利用すれば事が済むことろ故あって家内の妹宅に泊まった事なのです。


孫たちの顔も見たいし元より其処でのお世話を心待ちにしてたのだが家内はお嫁さんを気遣って今回は連絡途絶のままそっと内緒で潜行することにきめたのです。


風邪のこともあるし何より共稼ぎの身で4人の子育てに忙殺されるお嫁さんの事を考えたらとてもじゃないが舅姑両人が身を寄せるわけにはいかないと判断したのです。


況してや、手狭な住まいで布団を敷く空間もないのにどうして押し掛けることができようぞ。


確かに、折角大阪に居ながら水臭い仕打ちには違いない。


不快な想いをさせたかもしれぬが後刻話せばわかること、何れにしろ此の旅は英気を養うどころか逆に疲労困憊の度合いを増長させたに等しい結果に終わったようなのだ。


高が風邪くらいと侮った軽率さが大失敗の元凶だ。