老いのひとこと

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偶には散歩欲に駆られる時もある。


ゆっくりとまわりの情景を愛でながらマイペースで歩むことの大切さを学んだりする。


川面に映る魚影、小鳥の囀りの先、畑の作物の生り具合、庭先の手入れの塩梅等々先達ては変わった立て看板をみつけたりした。


加えて面白いことに門ごとの玄関戸やショーウインドー、ガラス窓にわが立居姿を映してみるのです。


そして、ゾッとするのです寒気を催すのですげっそりがっかり落胆するのです。


何んとみすぼらしい年老いた貧弱なるお姿が其処に映し出されますことか。


どん底」や「生きる」の中の名優左朴全は演技の中であの姿を創ったのでしょう。


わたしは演技ではなく地で行く姿そのものなのです。


いや、齢をとったものだ老人そのものではないか。


当たり前ではないか年寄りの癖にいまさら何をぬかすのだ。


しかし、おのれ自身は然に非ず老人には非ずと胸を張り腰を伸ばして恰も「七人の侍」や「用心棒」や「椿三十郎」の三船敏郎を気取って歩いてみるのです。


ガラス戸の前でショーウインドーの前でポーズをとる。


お腹の皮を前の方へぱーんと張って「エッヘン」と高慢ちきに三船さんに成り切って歩いてみるのです。


その為に散歩に出るのが楽しみなのです。