老いのひとこと

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二俣にある本泉寺は蓮如上人とは深い関わりがある浄土真宗のお寺であるくらいの知識しか持ち合わせてはいない。


郷土史に造詣深い知友F氏から若松本泉寺へ誘われて本泉寺が二つあることを初めて知った。


いい歳抱えてお目出度き存在です。


本泉寺の3代目住職は蓮如の七男坊で名を蓮悟と名乗ったらしいが蓮悟は二俣には留守番を置いて若松の地にもう一つ本泉寺を建てて守護大名冨樫政親に対峙したのだという。


高尾城にて政親を自刃へと追いやり此処加賀の地を100年間に渡り「百姓の持ちたる国」として存立させた其の立役者が蓮悟であり其の拠点が此の若松本泉寺に他ならない。


ところがその後真宗宗徒間の内紛で寺は焼失し今はその面影すら残されてはいない。


公園に整地されるが阿弥陀堂跡の標識すら一切何もなかった。


卯辰山の西斜面に位置し眼下には浅野川犀川が流れ対岸には野田山墓地を望み遙かに倉ケ嶽が聳えるではないか。


確かに要塞の地には違いないが政親が陣地高尾城を望むことは敵わなかった。


F氏の案内で嘗ての土塁の辺りに樹齢数百年に及ぶカエデの巨樹にお目に掛かれた。


長享の一揆の頃より生き永らえる巨木の樹皮は象の背中のように映った。


楓の樹命と一向宗徒の一揆の二つのエネルギーを同時に貪った。


そして、西方に望む山々の後ろには鳥越村一揆衆「山之内衆」の気高き雄叫びが遙か風に乗って伝わって来たではないか。


南無阿弥陀仏」の念仏の轟が地響きのように四方八方からわたしの周りを取り巻き襲い来るではないか。