老いぼれの独り言

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またしても当家の当主がご乱心あそばされた。
野田山の頂に通じる新ルートに心酔し拘泥なされているのです。
誇大妄想も甚だしく最早これは精神分裂症そのものに近いかもしれません。
 
此処に八十に間近い老いぼれが一人います。
わたし自身の事です。
そのわたくしの母方のご先祖を手繰れば
( ひい )お祖父さんに当たる津田近吾に辿りつきます。
 此の津田近吾の産みの母が「鉚」と云う名のお方になります。
 そして、「鉚」の方の産みの母親に当たる方の名前を「定」と申します。
 此の「鉚」の母親「定」の方は実は前田弥助直内なるお方の娘さんであることが分かりました。
さらに、この前田弥助直内なる人物の血筋を遡って尋ねて見ますれば先ずは実父前田七郎兵衛直行に、次にはその実父前田伊織直氏へ、更にはその又実父の前田五左衛門弘直へと連なり最後には弘直の実父前田七郎兵衛直玄 ( なおはる )なる人物にまで辿りつけるのです。
 
そして、此の前田七郎兵衛直玄は実の名を今枝七郎兵衛直玄と申し此の者の実父は前田家家老今枝民部直恒に違いなく又実母は前田源峯こと前田対馬守長種の娘にこれまた違いはないのです。
名を「亥」または「亥子」あるひは「玄」と呼ぶらしい。
そして、さらなる恐ろしき事実として此「亥」の方の生母が「幸」の方であることを突き止めたのです。
他でもない、此の「お幸」の方は利家公と「まつ殿」の第一子であり源峯こと対馬守長種に嫁いでいるのです。
不甲斐なき此のわたくしから野田山の山頂に君臨される前田の大殿様まで一気通貫役満・倍満・跳満が曲りなりにも成立してしまったのです。
これはご乱心どころの騒ぎではない。
名誉棄損で訴えられますぞ。
あなたは好いお年を抱えて本気なのかね。
あなたは本当のお馬鹿さんだねと揶揄され罵られるのが落ちなのですよ。
 とうとう発狂してしもうたがですか。
 呆れたものだ。
 「阿呆は死ななきゃ治りゃせぬ」とはよく言ったものです。
 
 なお、此の野田山山頂に至る女系新ルートの草案作成者は知友舟田敏氏に他ならず、わたしはそれを我流で手直しし脚色いたしダイジェスト版に仕立てました者なのです。
 何れにしろ、此れは面白くもない我田引水の典型的な一事例なのです。