2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

うらなりの記《113》

⑲何にも増して借間住まいが辛かった。 登下校の折には戦戦恐恐とした面立ちで隠れ潜んだ。 誰にも見られたくなかった。 終戦間もなき当時なればことさら特筆に価するような事でもなかったのだが身分不相応に身の程知らずの見栄っ張りだった。 学校へ行く事…

老いぼれの独り言

土曜日の郵便窓口は南郵便局まで出向かねばなるまい。 氷雨混りの寒い日だった。 裏手の奥まった箇所に駐車場がある。 所用を済ませ、ドアを閉めキイーを回しおもむろに発進させたその矢先に突如として真っ赤な物体が目の前を過ぎった。 いや赤き物体が左か…

老いぼれの独り言

③ 昨日の月曜日朝“きらクラ”を聞いた。 ロシア人美人ピアニスト イリーナ・メジュエワさんがゲストで居られた。 “亜麻色の髪の乙女”を演奏された。 何処かで聞き覚えのある旋律だった。 理解の乏しい田舎の年寄りだが、それとなく何とも言えない繊細で優美…

老いぼれのタイ行き《10》

タイ国ツアーに参加して=その10 タイスキ タイに来て「タイスキ」知らずして帰るのも口惜しい。 わたしたちの此の思いと察知したノイさんと義弟はMKレストランへ案内された。 タイ式のスキヤキのことを「タイスキ」というらしい。 坂本九ちゃんの「スキ…

老いぼれの夕雲考《》111

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(37) 畜生心を戒めた師夕雲 ㉚【畜生心と云は先師夕雲平常の辭也、夕雲は學問もなく文盲第一の人也、故に言語に鄙俗なる事數多あり、然れども理は、本文に通じて聞ゆる文才の人の注釋よりも早く聞ゆる事のみ多し、折節には畜…

老いぼれ教師の回想記《114》

その六 石垣の 陰に潜みし 将中や 習字の授業=その2 今ここに遂にやって来た。板書用の特製大筆で黒板一杯に一文字を大書する。 しっかりと打ち込み筆を止めた後から墨汁に見立てし水滴がひたたれ落ちるのを諸共せずに一気に書き上げる。 形容しがたき醍…

老いぼれの愛犬日記《》

孫の絵 愛くるしき面影よみがえる 今にも 飛び跳ねじゃれ付かんとす

老いぼれの独り言

續 新聞もテレビも、どうも厳正なる中立中道を追求すべき公共機関とは言い難い。 カミさんに新聞購読と受信料契約を解約したい旨申し出てみたが駄目だった。 猛然と反対論を主張された。 それで敢え無くクラッシック音楽に夢中にならざるを得ない。 これし…

老いぼれの弓事始め《26》

㉔ケロイド状の蚯蚓腫れ 基本に忠実に射ていれば問題はなかろうに、どうした事か我が輩は基本を大きく逸脱した無鉄砲な我流を押し通すので斯くも無惨な内出血に見舞われてしまった。 兎に角痛い、相当に痛い。 痛いのを我慢して射ている内に此の様だ。 更に…

老いぼれの北海道行き《4》

北海道紀行 二〇〇五年秋 ④ 阿寒町にシカ牧場が出来たらしい。 繁殖し過ぎ農作物への被害が夥しいので捕獲した分を囲い込み給餌し食肉用に供するのだと言う。 フランス料理でシカ肉は高級品らしい。それ程にまで蝦夷シカは観光客には顔なじみだ。 奈良公園…

老いぼれの居合稽古《4》

その4 年甲斐もなく強がりを言って詫びしい限りです。 金曜日のふれあい体育館と奇数土曜日の野々市武道館が修練の場である。 元来居合は独りで成り立つ。何時も連れなく独りで抜く。 静寂の中ゆえ、袴を捌いて左の膝着床の折 音もなく気配無く見事ソフト…

老いぼれの独り言

侍ジャパンの山本監督も元へ銀座長州屋の社長さんが一振りの日本刀を謹呈したのだという。 幕末の名高き刀匠であった源清麿の名品を肥後の国の赤松太郎兼照が模して複製した逸品らしい。 紙上には山本監督がおもむろに手にしずっしりとした感触を味わってい…

「孫旅」の思い出

『孫旅』の思い出=その5 4 ホテルの巻(1) 年寄は振り返りあんなことこんなこと昔を思い返すだけだが、若者は留まることを知らずに脱皮し続け今や大きく成長した。 表参道駅に着いたときは、ケイタもじいちゃんも、もうくたくたに疲れていました。 し…

雑草園顛末記《26》

㉖雪囲い かつて仕事をしていた頃には中産階級を自負し藤井造園に雪吊りを頼んだこともあったが今やその気はないし必要もない。 とにかく庭一面が、呆れるほどに荒れ放題のままだ。 それでも、一向に気にならないし気にもしない。 もはやとっくの昔にわたし…

うらなりの記《112》

⑱楽しかるべき青春時代にエネルギーを爆発させ高校生活を賛美し謳歌すべきにもかからわず、なぜ私だけが然るべき惨憺たる負の負い目を負わねばならなかったのか、母はいつも我が事のように私の傍にいて一緒に思い悩み苦しんでくれた。 そういう母であった。…

老いぼれのタイ行き《9》

タイ国ツアーに参加して=その9 ノイさんはこちらの要望を受け入れてカンチャナブリ県の史跡泰緬 (たいめん)泰緬 (たいめん)鉄道まで足を延ばしてくださった。 処が、わたしが察するところノイさんには本意ではなかったのかも知れない。 ノイさんは生粋の…

老いぼれの独り言

やっぱり何が何やらさっぱりわからない。 中国の戦艦が人騒がせなレーダーを照射したのだという。 おちょくった様なこの行為は、あの一連の尖閣問題の火付け役たるシナリオライターさんへの色目仕掛けのモーションではなかったのか。 そんな安っぽい誘いに…

老いぼれの独り言

老いぼれ故よくわからない。 何年か以前に尖閣近海で中国漁船がぶつかってきた。 船長は一度は拿捕されたものの釈放されてしまった。 時の民主党政権下で仙谷さんは弱腰屁っ放り腰な軟弱外交の張本人として激しく揶揄されたのでした。 日米関係を悪化させ冷…

老いぼれの独り言

わたしは老いぼれでよく分かりません。 くすぶり続けていた尖閣からまた火の手が上がってしまった。 中国の戦艦がレーダーと云う物騒なものを自衛艦に浴びせたのだという。 ちょっとおちょくって、最近お隠れの石原さんに御出座しを願ったような気がしてな…

老いぼれの夕雲考《110》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(36) 邪道に流される正統性=然るに師たる者は ㉙【たとへ弟子の内にあればとて、一月か二月の中に漸く一度か二度對面の、暫時稽古する間 ( マヽ )の事、いかやうの盛徳の君子のふりにも仕なし、口に向上の理義を談ずるも易…

老いぼれ教師の回想記《113》

その六 石垣の 陰に潜みし 将中や 習字の授業=その1 厳めしき高三の巨大なる体躯からすれば中学生はさすがに幼子に映った。 春爛漫、桜花乱舞する校庭でのクラス写真の一齣には安らぎに似た長閑な安寧の表情がありありと写っているのである。 この様な平…

老いぼれの愛犬日記《23》

㉓就寝前の仕草 1おもらし 捨て犬ではあったが用便のしつけは身に付いていた。 恐らく以前の飼い主の方はイヌとしての最小限のマナーだけは身に付けさせてあったのだろう。 大便はもとよりおしっこも家の中で仕出かすことは決してなかった。 それが去年の…

老いぼれの独り言

憶測でものを言うのはよくないことです。 此れはごく一般論として今回の一連の園田事件を見てみました。 選手が監督を非難し中傷したのだという。 複数名の連名なので恐らく信憑性はあるのでしょう。 遅刻を楯に取ってビンタを喰らったらしい。 稽古に遅参…

老いぼれの弓事始め《25》

㉓10月29日 予てより諸先生方より、巻き藁射法に研鑽を積むのも大いに結構だが、正式な射位から的を射る経験も必要でしょうとの温かき推奨の言葉をいただいていた。 その度毎に、当方はまだまだその領域に達していません、そのような存在にはありません…

老いぼれんp独り言

どうも最近体調がおかしい。 新聞にもテレビにも興味がわかない。 処が何故かしら難しいクラッシック音楽に魅せられるのだ。 奏者の真剣な眼差しが堪らない。 わたしには音楽に対する素養は全くない。 だから訳もなく只ひたすら無心で聞く。 いま此処で、ク…

老いぼれの北海道行き《3》

北海道紀行 二〇〇五年秋 ③明治の初期にこの北海道の大地に資本主義経済の仕組みが導入され移植された。 先進欧米諸国より遅れることおよそ一世紀にして、ようやく産業革命の産声を上げて以来市場獲得のための侵略戦争という諸々の紆余曲折があったにしろ着…

老いぼれの独り言

暴力や体罰を容認したり園田監督さんを擁護する気はさらさらないのだが日本國中寄って高って各メデアはこの当事者を非難し集中砲火を浴びせている。 まだ四十にも届かぬ若き熱血漢が一度や二度の失策で葬りさられてしまう事には少しばかり納得が行きかねる…

老いぼれの独り言

わたしは既に相当歳を召してしまった。 周りを見渡す限り一族同族の中では何時の間にやら最古参の類いに数えられてしまった。 為すべきしごと、果たさねばならぬ諸々の課題に取り囲まれて呻吟する。 残された年月が刻一刻と削られてゆく言うにゆわれぬ焦燥…