老いぼれの愛犬日記《23》

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㉓就寝前の仕草
1おもらし
捨て犬ではあったが用便のしつけは身に付いていた。
恐らく以前の飼い主の方はイヌとしての最小限のマナーだけは身に付けさせてあったのだろう。
大便はもとよりおしっこも家の中で仕出かすことは決してなかった。
それが去年の春たけなわの頃寝起きする台所の一角が水浸しになっているのを不審に思いつつも暫らくの間、同じようなことがつづいた。
 家内は雑巾掛けをしながらリリのしわざであることに薄々気付いていたらしい。
 息子や孫たちからも、リリを咎めて叱ってはダメだよとわたしは (いさ)められた次第だ。
 齢が齢、老婆に成りかける此のイヌも天然の摂理 (せつり)に従わざるを得なかったのだ
 あの俊敏にして勇猛なるわが家の主もおもらしを常態とするようになってしまった。
 涙がでるくらい不憫 (ふびん)さを覚えて仕方がない