老いのひとこと

大阪と神戸の孫たちへ加賀名産の「内川の竹の子」を少々手土産に持たそうと一本買い求めた。

今宵の夕餉にみんなして加賀の名品“タケノコ”のお刺身もよかろうと上モノを1本3000円の大金をはたいて求めた。

さぞかし美味かろうと湯がき始めた家内口からは「此れは不出来な駄作ですよ」と意外な言葉。

賞味いたせば全くこれには参りました、旨味甘味がそっけもない舌触りのザワザワした代物ではないか、根元のみならず大半が粗悪品ではないか。

看板に偽りアリだ、何が安心安全の朝掘りモノだ、頭から騙し居ったなあ此畜生メが。

騙しの手口、よぼよぼの年寄りの足元を見て捌き切れない売れ残りの鮮度落ち商品に高値を吹っ掛け居ったのだ、実に怪しからん悪徳商法ではないか。

藩政期からつづく加賀藩の銘品「別所の筍」の伝統の味が台無しではないか、先祖の礼に叛く恥ずべき行為ではないか。

後味が芳しからざる「内川のタケノコ」ではあったが子や孫たちは巧い美味いと口々に刺身と昆布だし煮物に舌鼓を打ってくれたので家内は助かったようだ。

 

ほんの少しだけだが折りに詰めて大阪と神戸の孫へ届けることが適い好かった。

 

此のわたしはほんの少しだけ口にしただけで箸を付ける気にもならなかった。

憤懣やる方無い思いだ。