2012-01-01から1年間の記事一覧

老いぼれの独り言

金沢高校の先生が無免許で授業を担当したのだと、地方紙はまるで鬼の首でも取ったかのように大きく報道した。 なるほど無免許運転はよろしくない。 しかし、そのお方には教えることのでき得る素養は申し分なくあったらしい。 なにぶん十余年にわたり勤務し …

老いぼれ教師の回想記《111》

その六 石垣の 陰に潜みし 将中や 礼に始まり礼に終わる=その4 武道必修が緒に就き将に定着せんとするが、日本の青少年たちに「武道精神」が芽吹いた兆しは未だ何処にも察知しない。 むしろ、「武道の心」とは相容れない全く正反対の「いじめ問題」がクロ…

老いぼれの愛犬日記《21》

らんらんとした目付きで「死」と対決中のリリ ㉑道行く人へ 1リリ元気か 近所のスーパーでパートをなされると或るおばちゃんが決まって家の前で「りりー元気かあー」と大きなお声で、わが愛犬に向かって御挨拶をなされた。 心得たもので、わが愛犬も呼応す…

老いぼれの弓事始め《23》

㉑10月1日台風一過とはゆかず土砂降りの中出向く。 いつものように黙然と巻き藁を打つ。 細心の注意を払って課題克服に当るのだが、わたしの矢は一直線に飛び垂直に吸い込まれることがない。 確かに傾き加減は多少是正されたのだが依然としてやや右に傾くの…

老いぼれの北海道行き《1》

中国から帰った年の秋にまた北海道へ 行く機会をさずかった。 わたしには二度目だが家内は初めてだっ た。 わたしたちは決してそんなに悠長な身分に あるわけではない、とにかく何か異様な切迫 感に急き立てられたように旅支度に駆り立 てられたことを思い…

居合稽古心得覚書《1》

居合稽古心得覚書 その1 金曜日の額谷道場と奇数土曜の六水道場での小一時間が己に課した居合修錬の場となる。 ただ寄る年波には勝てず、足腰の退化取り分け膝の劣化には悲哀感を覚える。 しかし、安易な妥協は許すことなく将に老骨に鞭打ちわが身をしごき…

「孫旅」の思い出《2》

賞品の鉛筆と消しゴム 「孫旅」の思い出=その2 ケイタの冒険旅行 1 急行能登の巻 急行能登は今年2012年2月24日を以って運行中止の憂き目を見ました。 今を去る事10年昔に孫と共に旅に出ました。 その折に綴った記録を紐解いてみました。 もちろ…

雑草園顛末記《23》

㉓タマネギ植え付け準備 サツマイモの後釜はタマネギにした。例のようにスコップで掘り起し石灰を撒き、また掘り起し鶏糞の上から更にもう一度スコップっを入れる。 地中に固まる土壌をほぐし空気に触れさせ日光浴もさせねばならぬ。 手間暇かけて土を労わ…

うらなりの記《109》

⑮三省堂の大辞林によれば、両側の前額部(こめかみ)に電極を置き通電(一〇〇ボルト電圧を数秒間)するとてんかんのようなけいれん発作がおこる。 前頭葉の機能を弱め興奮を除くとある。 医師が電源スイッチに手が伸びるのをわたしは横目で見ていた。 複数の…

老いぼれの独り言(タイ=6)

タイ国ツアーに参加して=その6 バンコクの人口は推計で六百八十数万の大都会だ。 車社会が到来したが道路事情が追い付かない現状は何処も変わらない。 随所で拡幅工事がみられ、また地下鉄建設工事が拍車をかける。 車の渋滞はバンコク名物の一つに違いな…

老いぼれの夕雲考《107》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(33) 邪道に流される正統性=然るに師たる者は ㉖【人に依て初めては、心理を信仰して實事を望むふりに勉むと云とも、畢竟の内意は、巧者ならば人も教へ廣めて世上へ其名を顯し、當分流浪の間は弟子中の助力を受けて貧窮を救…

老いぼれ教師の回想記《110》

その六 石垣の 陰に潜みし 将中や 礼に始まり礼に終わる=その3 何よりも一番の課題はこの学び舎を巣立った数多くの学生諸子たちが、この殺伐とした実社会の真っ只中で小さな核となって一人でも多くの良識ある社会人・本当に自分の国を愛することができる…

老いぼれの愛犬日記《20》

りりよ、ごめん ⑳ この犬は、感情表現の明暗度がとても大きかった。 一たびお気に入りでない相性の合わない犬君に出くわすとまるで発狂したかのように荒れ狂い繋いであるリードを食い千切らん勢いで噛みついていた。 リードを噛み切って相手に飛び掛からんと…

独り言

案の定、巨艦「大和」は物の見事に轟沈した。 存命の者五十数名に過ぎず、大方の者たちは野田政権と運命を共に海底に沈んだ。 弔いの意味を込めて、NHK「Eテレ」は午後8時以降テロップを差し控えて「日曜美術館」を粛々と放映した。 次いで「らららク…

老いぼれの独り言

宇宙創造の神々の逆鱗に触れたごとく 日本列島に激震が走った 幾多の同胞をして震撼させ続けている こんなときにこそ 臍下丹田に胆を据えて 沈着冷静なる対応が求められようぞ!

老いぼれの弓事始め《22》

⑳9月27日、一週間振り巻き藁の前に立つ。 わたしの矢筋は旧態のまま右に傾いてしまう。 やってもやっても同じ過ちを繰り返す。細心の注意を払いながらも真っ直ぐに一直線上に乗らない。 重大な欠陥を抱きかかえて幾ら射ても悪癖が身に付くだけで徒労も甚だ…

老いぼれの中国紀行《12》

中国紀行 最終回 互いに我執に執着し、何時までもヒステリックに目くじらを立てていても始まらない。 われらが国の文化文物の源泉を辿れば、やはり孔孟の教えであり老荘の学に行き着こう。 屈服ではない妥協を計るためには、先ずは先駆者を立ててこちらが身…

老いぼれの形稽古《27》

結びに当たり 千葉県市川市在住の加藤さんから実に重厚なるコメントを頂戴した。 それを無断でご披露させていただくことと致した。 わたしの拙い稿に一輪の花を添えていただき有終の美を飾ることが叶えられました。 篤く御礼申し上げたい。 【高橋さんの最…

「孫旅」の思い出《1》

「孫旅」の思い出=その1 ちょうど10年前の2002年夏にわたしは孫と共に旅に出た。 その折に、記憶を留めようとワードの片隅に小文を温存させておいた。 たまたま秋口の頃、新聞紙上で「孫旅」記録の募集を呼び掛ける小さな記事を目にした。 何故かしら、そ…

雑草園顛末記《22》

㉒キャベツに白菜 ホームセンタームサシにて6株一セットのキャベツと白菜の苗、各々の一セットづつ計600円を支払って求めた。 買い求めた後に、枯れたキューリとトマトをば引っこ抜き俄か仕立ての植え床を作る有り様。 相も変らぬ泥縄農法である。 農神…

老いぼれの独り言

先週土曜日12月8日、2次大戦の開戦記念日にNHKは「戦艦大和」を放映した。 軍国日本の最後の砦が敵陣に帰する悲痛なる場面をいやと思うほど見せ付けられた。 NHKの放映の意図が何処にあったのか空っぽのおつむを捻 (ひね)くってあれやこれやと考…

うらなりの記《108》

⑭ 私は高校三年の秋たけなわの頃に、母と同じ国立金沢病院の精神科病棟へ入院した。 入院せざるを得ない羽目に陥っていた。 むしろ、自ら率先して治療に専念するべく決意したことになろう。 対人恐怖症という神経衰弱であると診断され、鉄格子入りの精神病…

老いぼれの独り言

タイ行きツアーに参加して=その5 同行する義弟の知人にノアさんと云うタイ国籍のお方が居られる。 その方のご好意で、団体行動をキャンセルし自由行動が適えられた。 トヨタ車ヴィッツ1.5Lが愛車でゆくゆくはレクタスに乗り換えたいのだと身を乗り出し…

老いぼれの夕雲考《106》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(32) 邪道に流される正統性=然るに師たる者は ㉕【面々の了簡を極意にして、名譽の上手に成て勝を樂んで、終に正理に迷ふ人も出來らんかと憚り恐るヽ所なり、第一當流修行の人は藝者の心を捨て、何とぞして兵法を藝になさぬ…

老いぼれ教師の回想記《109》

その六 石垣の 陰に潜みし 将中や 礼に始まり礼に終わる=その2 旧市街地の家並みには旧家が多く日本古来の二世帯住居が依然として主流を占めた。 祖父母と共に居ること自体が気持ちの上での安らぎのクッションと成り得た。 自然に醸し出される精神安定剤…

老いぼれの愛犬日記《19》

⑲ 人を見抜く習性 イヌは犬なりに本能的に人を見抜く潜在的能力を宿すようだ。 好みと云おうか匂いと云おうか雰囲気で 人間を瞬時に峻別する。 シッポを見れば直ぐに分かる。 慣れ親しんだ旧故の仲のように寄り添って親愛の情を露わにするかと思えば片やまっ…

老いぼれの弓事始め《21》

⑲9月17日敬老の日 高校生が一人既に来館し稽古をしていた。 念願の課題克服のため今日も巻き藁の前に立つ。 あれやこれやと無い知恵を絞って試みるが相も変わらず矢の軌道は右方向から突き刺さるのである。 その角度に多少の塩梅があるものの悪癖は直る…

老いぼれの中国紀行《11》

中国紀行 ⑪ 毛語録を高々と掲げ人民公社の旗の下、マルクス・レーニン主義を声高に謳歌しながら搾取なき共産主義国家を建設したかに見えたのも束の間、中国民衆のエネルギッシュな無言のうねりは文化大革命の嵐を惹起せざるを得ない必然性を秘めていたので…

老いぼれの形稽古《26》

小太刀三本目 仕太刀が摺り上げ、摺り落とし、摺り流し、摺り込むの一連の動きのフイニッシュは摺り込むと同時に打太刀の右ひじ上部を逆手で捻り上げ腕を圧し折る気勢で完璧に自由を奪わねばならない。 最早この時点では剣術というより体術柔術の領域だ。 そ…

雑草園顛末記《21》

発芽後二週間 ㉑ 選り菜 (すぐりな)=間引菜・・10月初旬の古い話 事も無げに引っこ抜くが、果たして適切だったのか、その都度そんなつまらぬ事が気になる。 明らかにうらなり然としていれば納得の仕様があるが、競うように同等に育ったのを見れば判断の仕様…