「孫旅」の思い出《2》

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                  賞品の鉛筆と消しゴム
 
「孫旅」の思い出=その2
 
ケイタの冒険旅行
 
1 急行能登の巻
急行能登は今年2012年2月24日を以って運行中止の憂き目を見ました。
今を去る事10年昔に孫と共に旅に出ました。
その折に綴った記録を紐解いてみました。
もちろん主人公は初孫の高橋佳汰でありますが、わたしが孫の身になりすまして文を進めた箇所も多々あることをお断わり申します。
 
 ケイタは六歳、四十万小学校の一年生です。
からだは小さいが、心は大きいのです。
 父さん、母さんのもとを離れて、はじめての冒険旅行への出発です。
夜の10時12分発の、上野ゆき急行能登に乗りました。
母さんと妹のリナ、たかおのばあちゃんが見送りにきてくれた。
 少し、さびしかったが、平気な顔をして、バイバイと手を振りました。
座席に余裕があったのでベットに早変わりできたのはラッキーでした。
すこし窮屈 (きゅうくつ)半分はみ出いたが、どういうことでもありません。
ケイタは満足そうな表情で寝息をたてているようです。
とはいうものの、なかなかぐっすりと熟睡 (じゅくすい)とはいくはずもありません
 うつらうつらしているうちに電車は直江津を過ぎたようです。
間もなく電灯も消えてスピーカーからの車内放送も聞こえなくなりました。
レールの上を走る列車のリズミカルな車輪の音だけが響いていました。  
 ところが、よーく耳をすますと、向うの方で人の話し声が聞こえるではありませんか。
寝静まった真夜中に、人の迷惑を考えずに大きな声で話したり笑ったりしているのです。
 そのときでした。じいちゃんの大きな声が聞こえました。
「そこのお若いお二人さん、時間をわきまえてくだなさいよ!周りの人たちのことも少し考えてくださいよ!」
 ケイタはやっと、深い眠りにつけた。
 
目が覚めたら、もう上野駅についていた。何枚ものタオルケットやバスタオルや手拭いが体中に巻きついていたので、少し恥ずかしかった。
 ケイタは大都会東京の空気を大きく吸って、勇気が湧いてくるのがよく分かった。
東京の青空を見上げて、さあ 行くぞー、恐竜博へ行くぞーと心の中で叫びました。