2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

雑草園顛末記《31》

わたしにはもう耕作地はない。 わたしにはもうナスもキュリーもトマトも実らない。 わたしはおのれの判断で畑を断念し放棄した。 わたしは畑とは縁を切り離縁したも同然なので極力未練たらしく畑と称する物から目を離し見ないように努めてきた。 完全に絶縁…

うらなりの記《117》

第三章 私は在り来たりの人でありたかった 喘ぐような呻き声で絞り出した茶番劇のような独演会はいよいよ終末に至った。 一見すんなりと立ちはだかったわが姿は正に虚構に過ぎません。 わたしの中に秘められた数々の虚像の実態を自らの手で暴き出してしまっ…

ニュージーランド行き《1》

仕事をしていたころには一歩たりとも國の外へ出ることがなかった。 実は、そのことはとても口惜しい事であ った。 退職の後に、遅ればせながらも堰を切っ たように其の機会が訪れることになる。 2006年時の記憶を綴った古くさい思い出話 に過ぎません。…

老いぼれの独り言

“のど元過ぎれば熱さを忘れる” この言葉通りの我が身を知ってげんなりです。 前歯が抜け落ちたときもそうでした。 耐えられぬ激痛で泣き付いた時もそうでした。 歯医者さんの有り難味を痛いほど知らされた身でありながら先日この歯医者さんから“転ばぬ先の…

老いぼれの独り言

草むらに 淡きともし火 夏の宵 満天に ほたる舞い降り 星ながる 人知れず 舞うは今宵の ほたるかな 定め無き ときと空間 ほたる飛ぶ ほたる火や はや消え失せて とき移る 六月四日にホタルを見た。 先日の雨で水嵩がまし、流されてしまったのかその後その数…

老いぼれの夕雲考《115》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(41) 畜生兵法をば酷評す 【漸く鷹の鳥を獲り猫の鼠を捕ふる程の所作をし、或は上を打よと見せて下をはらひ、横を拂ふふりをしては頭上を竪割にし、身を捨てあたゆる樣にして却て此方へ奪ひ、大勇の氣をはり出し、少しも身命…

老いぼれ教師の回想記《118》

職場の親睦=その3 社会科部会の研修旅行も忘れ難い出来事であった。 ある夏の一日、尾瀬沼の大自然を満喫した。燧ケ岳の勇姿を横に桧枝岐に入り只見川沿いの奥只見ダム、田子倉ダムの実物を此の目で確認した。 何といっても指定のキャンプ地でテントを設…

老いぼれの独り言

三国連太郎さんは老け役に徹するために自分の前歯を10本も抜いてしまったのだという。 自分で抜いたのか医者に抜いてもらったのかは知らない。 麻酔を掛けたのか本当に掛けなかったのかも知らない。 それにしても随分大外れたことを断行し自己主張をなさ…

津田家のルーツを辿る≪3≫

3 斯波蕃作成の玄蕃家由緒書に従えば、先ずは事の発端は玄蕃家9代当主津田乙三郎正矩は妻(成瀬の娘)が世継ぎを懐妊中に他界してしまった事に始まる。 10代目を継ぐ養子に津田修理正直が登場するのだが、その経緯は次のようになる。 津田玄蕃家の第二代目…

老いぼれの独り言

ここのところ物忘れがひど過ぎる。 少し前からその兆しには自身気付いていたのだが最近はあまりにも顕著過ぎる。 13日の木曜日は間違いなく弓の道場へ赴いたのだが先日の失敗を再び繰り返し素足のままであった。 此の日は先生から指摘される前におのれ自…

老いぼれの愛犬日記《28》

リードと針金 われら人間にも犬歯があり、それも上下四本もあるという。 文字通りこの犬歯は犬族が顕著なので犬歯と書き表すのだという。 りりはメス犬ではあったが立派な犬歯を持ち前としていた。 本来、肉食の犬たちには獲物に噛み付きこの犬歯で以って肉…

老いぼれの独り言

わたしにとって日曜会稽古の存在意義が斯くも大きいとは知らなかった。 ところがその存続が危ぶまれる事態を迎えるに至ってしまったのです。 つまりは道場閉鎖の情報が何処からともなく流れ始めた。 わたしの身辺を構築する類稀なる存在物の一つを失う時期…

老いぼれの弓事始め《30》

㉚今日も巻き藁の前に立ち黙然と打つ。 後方より先生のお声が掛かる。 弓手手の内が硬いとお叱りの弁、親指の腹を中指の側面にしっかりと当てがいなさいとの忠告を戴く。 空間を意識しろと云う。 くそ握りはダメだ。 生卵を握るが如く優しく柔らかくとおっ…

沖縄の旅«1»

6年前の2007年の年に大阪の三男夫婦がどうした風の吹き回しか沖縄旅行を手配してくれた。 どんなに格安ツアーであったにしろ諸手を掲げて甘受せざるを得まい。 北の果てからいきなり南の果てへ大阪を経由して飛んだ。 尖閣や普天間、辺野古とは無縁の…

老いぼれの独り言

お隣の町会にも市の公園がある。 ソフトボールができるグランドと銘打つだけあって広々として整備も行き届いている。 ウイークデイの早朝6時前にもかからわず少年たちが野球やサッカーに興じている。 散歩やジョギングで行き交う方々は軽く会釈をしながら…

老いぼれの独り言

電信柱を抱きかかえる様に寄り添うように植物が自生する。 雑草に過ぎぬだろうから根こそぎ引っこ抜こうと試みたのだが、よく見れば可憐な白花がまるで訴えるかのように清楚な姿でわたしに哀願する。 どうしても処分するは忍び難く、先ずはお名前だけでもと…

町内よもやまばなし≪4≫

町会よもやま話 ④少なくとも自慢じゃありませんがわたしの人生行路上には「長」と名のつく役職には縁も所縁 (ゆかり)もなかった。 社会的地位も肩書も築いた資産も何もかもあるはずがない。 政治力も説得力も社交術もこれまたあるはずがない。 「ない」「な…

老いぼれの独り言

わたしが此のふれあい体育館から頂く得難き糧らしきものがもう一つある。 いつものように館内を夢遊病者のように軽走し、一挙動素振りと斜面を縦一線に繰り返す。 一息ついで、大きく振りかぶって正面を打ち余勢で数歩送って残心、此れは数分やれば十分、あ…

老いぼれの独り言

あちこちでカラス騒動が持ちきりです。 お巡りさんに援護救護防衛策を依頼して防災管理体制に完璧を期したという素晴らしいお話も聞いた。 今日の、ふれあい体育館でもそのお話に花が咲いたのです。 体育館に勤務なされる職員の方が玄関先で飛翔中の鳩がカ…

老いぼれの独り言

ほ ほ ほーたる来い あっちのみーずはにいがいぞ こっちのみーずはあーまいぞ ほ ほ ほーたる来い ほ ほ ほーたる来い こよいの お月さん 真ん丸い みんな 角なく なごやかに ほ ほ ほーたる円やかに ほ ほ ほーたる来い あっちの みーずはあーまいぞ こっ…

老いぼれの居合稽古《8》

その8 半可通 (はんかつう)の知ったか振りは見苦しいし、わたしも忌み嫌う処である。 四本目「柄当て」は居合膝から入る。 先輩方や末岡敬正師、もっと遡れば大家政岡壱實師からは確か立膝の呼称で教わったはずだ。 そこで政岡壱實著「英信流居合(居合膝…

老いぼれの独り言

道端の野草たちが繁茂し出した。 気温の上昇を見計ったかのように一斉に芽吹き出した。 町会の御世話を言付かった以上見て見ぬふりするわけにもいかず自ずと足と手が動き出す。 金具のヘラでコンクリートとアスファルトの隙間を穿るように根毛もろとも引っ…

老いぼれの独り言

アスファルトの道路の道端にコンクリートの壁との重ね目に雑草たちが犇めくように寄り添うように生活を謳っている。 こんな窮屈で不自由な所をよくぞ選りも選って定めしものかと感心するばかり。 処がわたくしは立場上この生きもの達を非情にも毟り取らねば…

「孫旅」の思い出

6 新幹線―あさひ327号と特急―はくたか18号の巻 東京駅はさすが、広い。日本の国の表玄関です。その東京駅の駅員さんとケイタはお話をしました。 ケイタは 「ぼく、新幹線にのるよ。新幹線が大好きです。」と云うと、その駅員さんから新幹線の絵葉書を…

老いぼれの独り言

車の中に置いていた雨傘を何処かで置き忘れたらしい。 にさん心当たりを探ってみたが見当たらない。 先日、六水会の独り稽古に赴き帰り際にわたしの物らしき一本を見つけソーと持ち帰った。 家に帰りもう一度しげしげと眺めてみるに確かに似てはいるが色合…

敗者の条件«3»

「敗者の条件」=其の3 二つ目の戒文は 【敗者は後で後でと判断・仕事を遅らせる】 である。 敗者は何時も愚図愚図していて優柔不断だ。 打とう打とうと思うがなかなか打てずに逆に後ろへ退いてしまう。 其処へ、覆い被さるように相手の面が炸裂する。 い…

老いぼれの独り言

歩道を自転車を走らす。 何時も“飛び出し注意”を意識しながら走らす。 狭い小路から一旦停止することなく自動車が出てくることがある。 大きいのより小さい車であり、大方は女性ドライバーだ。 こちらが恐縮した素振りをしないと逆に向うの方が異様な眼つき…

老いぼれの独り言

鷺のような悠然と佇む孤高の鳥もいれば、むら雀のように個性を埋没させた鳥もいる。 でも囀りを聞けば身もこころも和み安らぎ、一様にみなから愛でちぎられる。 ところがあの真っ黒で巧みの業師できこえ、又狡猾すぎる立ち居振る舞いで要領のいいのがいる。…

雑草園顛末記《30》

㉚庭木伐採 天気が良かったので庭木の斷捨離を決意した。 先ずは樹木への愛着心とか執着心を断ち切ることを決断しなくはならない。 何せこの齢になるまで、生きとし生けるものに哀憫の情を注ぐことが徳を積むことなんだと勘違いしていた。 愚かなことに漸く…