雑草園顛末記《31》

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わたしにはもう耕作地はない。
わたしにはもうナスもキュリーもトマトも実らない。
わたしはおのれの判断で畑を断念し放棄した。
わたしは畑とは縁を切り離縁したも同然なので極力未練たらしく畑と称する物から目を離し見ないように努めてきた。
完全に絶縁しようとかつてのわたしの畑には一歩たりとも近付いたことはなかった。
ところが此の独り善がりな身勝手な振る舞いが周りから苦情のような失笑を買ってしまった。
ご迷惑を掛けていたのです。
あなたのタマネギが邪魔で新たな耕作を試みんとする者には大変迷惑しているとの通報が入るに至った。
確かに繁茂する雑草の中にタマネギの幾つかがあった。
早速、今朝方に収穫の労を執った。
変な気持ちになった。
夜逃げ同然じゃないと思った。
火事場泥棒さんのようにも思えた。
収穫の悦びはどこにもなかった。
当り前のことでしょう。
相変わらずのドジ屋さんなのです。