老いのひとこと

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今朝がた珍しくも来客があった。

お隣の馬替町会のお方がお二人連れで参られ豪く神妙な面立ちで語り始められる。

うかがえばわたしの畑の横手に雪を投棄してしまったと云う。

前以って断りもせず甚だ怪しからんことを仕出かしてしまいましたと恐縮される。

何とぞ平にご勘弁願いたいと大の男が二人して頭を下げられるのには此方も些か困惑してしまう。

あそこはわたしが所持する土地ではなく借り受けた畑ですと何度も繰り返すが其れを承知の上で参りましたと又また頭を下げられる。

おまけに些少ですが当方らの気持ちですと包み紙を差し出す。

頂く筋合いではないと頑なに拒み続けたが先方の熱意に絆されて不本意ながら受け取ってしまった。

律儀な御方に出逢ったものだと感心した。

 

後刻畑を見分しようと車を出せば何んと驚くなかれ馬替地内は轍が複雑に交差する荒れすさんだ大変な雪道ではないか。

ハンドルを盗られ下手をすれば立ち往生寸前、辛うじて脱出する有り様だった。

ところが畑近辺は路面が出る。

思い外大きな雪山に此れまた些か当惑せざるを得ない。

その時大方の概要がつかめた。

親町会は除雪作業には未だ至らず手付かずの状態に業を煮やした一部住人の自警団が独自の除雪車を手配したことに気付いたのです。

所帯数の大きな広域町会では隅々にまで意思疎通が叶わなかったのだろうか。

市政の上部組織が音頭を取って取り仕切らねば地域住民は極めて迷惑至極だろう。

何かしら複雑な想いが無性に募るばかりだ。

コロナ禍に雪害ではそりゃ堪ったもんじゃない。

 

それに引き換え当町会は早々に除雪車両が何台も駆動し逸早く空かしてくれたことに感謝こそ致さねばなるまい。

やれ置き土産がどうの残雪がどうのといちゃもんを付ける奴の料簡の狭さが知れると云うもの。

恥ずかしい限りだ、反省致さねばならない。

暫し雪に閉ざされた“井の中の蛙”が周囲を見る目を持たず独り善がりな生活を送ったことになる。