
何時ものように額谷に向かう、額四峠を脱兎のごとく駆け摺り降りる勇壮なる御仁あり。
短パンに横縞模様のランニングに胸にはアクセントあり。
近付けば、何のことはない上半身は素っ裸、縞模様は肋骨の凹みでありアクセントは男性の乳房であったのはないか、まったく恐れ入りました。
日陰のある大庇の下で何時ものメニューに取り組む、すると体育館の管理人さんがあたふたと現われ、スワ一大事と言わんばかりに「子犬の死骸だ」と叫ぶ。
直ぐに戻って来て曰く、「子キツネのようだ」「役所へ連絡しなくちゃ」と立ち去る。
何時もので悪い癖、野次馬根性がムクムクと燃え上がりあたふたと痛い足を引き吊りながら携帯持参で急行す。
確かに頭部は小さい、大きな耳が直立し細長いシッポに手足の鋭い腱は確かに飼い犬ではない。
いたいけなくも母狐にはぐれて息絶えた、静かに首を丸めてうずくまる。
愛しき母を想いながら幼き命は昇天している、巨大な金蝿がなんと憎たらしいことか。
失礼かとも思いつつ神戸の孫へ転送す。
生物に多大なる興味を抱く孫ならばこそ厭わず嬉しそうに受け入れて呉れたのです。
いたいけない此の野生動物の屍と共に生物の命を共有することが出来て何よりでした。
遠くの方でツクツク法師が哀愁帯びた鳴き声で共に死を悼んでいる。






