老いぼれの弓事始め《30》

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㉚今日も巻き藁の前に立ち黙然と打つ。
後方より先生のお声が掛かる。
弓手手の内が硬いとお叱りの弁、親指の腹を中指の側面にしっかりと当てがいなさいとの忠告を戴く。
空間を意識しろと云う。
くそ握りはダメだ。
生卵を握るが如く優しく柔らかくとおっしゃる。
何処かで聞き覚えのある言葉である。
柄頭一杯に、小指半掛けに小指薬指中指で優しく柔らかく親指の向きは下、上、前だよと口が酸っぱくなるくらい諭し言い包めたのはこのわたし自身ではなかったか。
剣道と相通じる手の内の理論ではないか。
そのわたしの手の内が成っていないとはこれ如何に!
ショックだ!
実に困ったことになってしまったものだ。
先生には、何度も肯き肯き納得したように頭を下げざるを得なかった。
納得したように肯くだけでは話になりません。
体で納得できるまでまだまだ修行が足りないのです。
お話にならないのであります。