6 新幹線―あさひ327号と特急―はくたか18号の巻
東京駅はさすが、広い。日本の国の表玄関です。その東京駅の駅員さんとケイタはお話をしました。
ケイタは 「ぼく、新幹線にのるよ。新幹線が大好きです。」と云うと、その駅員さんから新幹線の絵葉書を一枚頂きました。
ケイタは 「ありがとう」と大きな声でお礼を云いました。
新幹線―あさひ327号マックス号は豪華な2階立てだ。
すごいぞー。早いぞー。…・
しかし、ケイタにはまわりの光景が目に届きません。
あまりにお腹が空いていたので、サンドウイッチをおいしそうにほおばるだけでした。
越後湯沢の駅で最後の乗り換えになります。
特急はくたか18号へ飛び乗った。
時間がないぞー。
急いで、急いで、それ行け!
あわてて ケイタは飛び乗った。
なんと、満員だ。座席がない。
あっ、あった。どこかのおばあさんの隣にケイタは急いで、飛びついた。
さすが、ケイタでかしたぞ。
でも、じいさんはそうは思ったものの別のことをケイタに望んだ。
ケイタよ、確かに「先んずれば人を制す」だろう。
時代を先取りすることはもっと大事かもしれない。
でも、今座席を確保し満足しただろうけど、回りに目をやった時ケイタより幼い子やお年寄りが居たらいさぎよく自分の席を譲ってあげれる、そんな勇気がもっと大事だよとじいさんは孫ケイタに言いたかっし望んだ事でした。
ケイタはお隣の見知らぬおばあさんと、気安く一生懸命に何事かお話をしている。
恐らく、おじいちゃんと恐竜展とデイズニーランドへ行ってきたことを話していたのでしょう。
しばらくすると、そのおばあさんはじいさんの下に、座席を代わってあげますよと告げに来られた。
「お孫さんとご一緒にどうぞ。」
親切なお人に、また助けられ、2人の冒険旅行は無事に終えることができました。
金沢駅には母さんと妹のリナがお出迎いに来てくれました。
ケイタは 「ありがとう」と心の中でお礼を言いました。
あの「孫旅」から10年以上の歳月が過ぎ去り、高橋佳汰は高校3年生に成長した。
おそらく孫の胸中にもあのハラハラドキドキした旅の思い出が、今もほんの少しだけでもいいので是非息づいて居てほしいものだと、淡き想いを抱く次第なのです。
そして、これから訪れるであろう彼自身のハラハラドキドキの人生を自分自身の手で克服していってほしいものだと願っています。 終