老いのひとこと

馬替上橋から中橋にかけてツバメの観察をしながらゆけば丁度川向こうの扇台保育園に動く物体あり。

一足お先にと云わんばかりに早々と端午の節句の鯉のぼりのお出ましなのだ。

あの園長さんのご配慮であの色褪せた真鯉と緋鯉たちが泳ぎ居るではないか。

年甲斐もなくおセンチとなりむかしを思い起こす、あれは数年前までは我が家にて愛玩された鯉たちに他ならない。

 

義父良一が長男生誕に際しポール一式を祝って呉れた、爾来次男・三男そして一番孫けいたと大阪のまさの代までその都度年年歳歳五月の薫風にはためかせた大切なる家宝であった。

処が寄る年波には勝てず、屋根瓦にへばり付く設置作業が独力では敵わず、終には我が家とは縁なきガラクタと化した。

廃棄を留まり此の保育園の園長先生に里子として提供し快く受諾して貰った曰く因縁深い逸品なのだ。

色褪せねども大切に保管され園児たちの歓声を浴びるとは嬉しい限りではありませんか。

 

保育園へ葉書にてお礼の言葉を届けたが少しばかりチリハグではないか。