タイ行きツアーに参加して=その5
同行する義弟の知人にノアさんと云うタイ国籍のお方が居られる。
その方のご好意で、団体行動をキャンセルし自由行動が適えられた。
勿論タイ国内生産体制はいずれも万全だという。
とにかくタイ国内の乗用車の九割がたが日本車なのだ。
そして、その日本車による渋滞のさまはこれまた尋常ではないのである。
悪名高きバンコク市内の車の洪水は生半可ではなかった。
心得たもので、ノイさんは全てを先取りし
車内にはタイ僧侶の読経のCDが流されていた。
憤らず憤慨せず拘泥もせず当たり前のこととして坦々と受流す心根を平生より養っていることがよく分かった。
とにかく動かないのである。10分待てど20分経てど一向に前へ進もうとはしない。
それでも誰一人としてクラクションを鳴らすようなドライバーはいないではないか。
さすが仏教国だ。
悠久の時の流れに身をゆだねる国民性が如実に発露していた。
とても感心した。見習って然るべしと確信した。
30分ほどしてようやく流れ始め、ノイさんは膝を敲いて納得された敲いで口を開いた。
王位ある人か政府高官の御籠通過を下々の民はひれ伏して見届けたのだと、そのような意味合いの説明をされていた。
難儀の果てに漸く脱出し郊外のハイウエーをひた走ったのでした。