老いぼれの弓事始め《22》

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927日、一週間振り巻き藁の前に立つ。
わたしの矢筋は旧態のまま右に傾いてしまう。
 やってもやっても同じ過ちを繰り返す。細心の注意を払いながらも真っ直ぐに一直線上に乗らない。
 重大な欠陥を抱きかかえて幾ら射ても悪癖が身に付くだけで徒労も甚だしい。
 初歩の段階の第一歩にして厚い壁にぶち当たってしまっている。
 挫折感を紛らわせて、ただ無鉄砲に意地を張り続けても本来の弓の本義を逸脱するだけだ。
 ふと弱音に似た心境に陥りかける。
 
 そんな時、また山口先生から具体的に幾つかの忠告が入る。
 一つ、打ち起こしから馬手の甲を意識的に上に向くように、離の寸前までそれを持続させる。
二つ、大三から会に至る馬手の動きを極力彎曲させて意識的に右の耳との間に空間を取るように為す。
三つ、的に正対するほどに首を曲げ、胸を張り頬付けを的確に為しなさい。
 貴重なるサゼッションと受け止めて試みるうちに確かに二三本ほど真っ直ぐに飛んでくれた。
 有りがたく感謝しなくてはならない。