老いぼれの愛犬日記《19》

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⑲ 人を見抜く習性
イヌは犬なりに本能的に人を見抜く潜在的能力を宿すようだ。
好みと云おうか匂いと云おうか雰囲気で
人間を瞬時に峻別する。
 シッポを見れば直ぐに分かる。
 慣れ親しんだ旧故の仲のように寄り添って親愛の情を露わにするかと思えば片やまったく無関心を装い知らぬ存ぜぬ風に振り向きすらしないのである。
 生前散歩の折わたしの立ち話の際には、どちらかと云えば愛想むないイヌであった。
 名前を呼ばれても決して反応を示そうとはしなかった。
 ところが一組の御夫婦のペアには破顔一笑静かに尾を振って応じていた。
 先日ふとお逢いした折には、たかが犬一匹に対し痛々しく哀悼の意を表わせられたことを思い返した。