#格闘技

老いぼれの夕雲考≪138≫

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(62) 夕雲と一雲の剣術には深遠なる哲理が脈々と流れ凡夫には近寄り難い。 しかも凡人には些か耳が痛い。 剣を遣うものはどうしても心の病に罹り易い。 此の心の病を大元から根治する術を会得しないまま只空念仏のようにやれ…

剣道はすごいぞ≪21≫

『剣道はすごいぞ』 ―伝統と文化を大切にしてよりよい日本国をめざそうー 十年一昔と云う、身の程知らずの稚拙さに穴が在れば身を隠したい。 時代錯誤も甚だしい人物が登場する時あたかも安倍政権、御存命なら九十四歳の三島由紀夫翁は憲法論議に何を語らん…

老いのひとこと

三方斬りー自己評価 動画が欲しいが生憎機器を持たない。 紙飛行機研究家のあーさんにシャッターをお願いした。 この画面は 前方の敵を柄頭で牽制しつつ抜いて右の敵を右手で切り伏す。 透かさず体を左に開いて頭上にて左手を添えるや左の敵を斬り裂くのだが…

老いのひとこと

無断掲載 西村選手の攻めの剣道は物凄い尋常ではない。 そのタイミングと速さには目を見張るが動体視力が付いて行かない。 有効打突を見失う、よく判らないくらい早い。 鋭い攻めの気勢が相手を動かし間髪を入れずに 体が動く。 先だってのNHKのドキュメ…

剣道はすごいぞ≪20≫

『剣道はすごいぞ』 ―伝統と文化を大切にしてよりよい日本国をめざそうー 剣を執るものが勝ちたい、あわよくば生を得て生き延びたいと念ずること自体犬畜生と何ら変わらぬではないかという。 夕雲と一雲の師弟は「相討ち」なる剣技を畜生剣法と蔑み且つ戒め…

老いぼれの夕雲考≪136≫

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(60) 無心に遊ぶ赤ん坊の仕草を剣の極意として位置付けた針谷夕雲の剣術のさわりの部分を小出切一雲は淡々とした筆使いで描写する。 此の師弟同行が編み出したその慧眼とその先見性や独自性に改めて頭が下がる。 幾ら歳を重ね…

老いのひとこと

週に一度の日曜稽古に鶴来まで馳せ参ず。 目を見開き歯を剥き出して裂帛の気合いで掛かってゆく。 手抜き無用相手の段位や称号はお構いなしに生の剣士同士が諸にぶつかり合う。 でも、勇猛果敢に掛かれどもその都度その都度わたしは 「お見事」でした。 「一…

剣道はすごいぞ≪19≫

『剣道はすごいぞ』 ―伝統と文化を大切にしてよりよい日本国をめざそうー 本当の負け犬にならぬために 葉隠精神が部分的に歪曲され戦時中の神風特攻精神に昇華され圧倒的に讃美された。 戦後73年今以って当時へのノスタルジアを感じ入る残滓が間違いなく存…

老いぼれの夕雲考≪135≫

口が腐っても云ってはならぬこととは承知の上ながら、それは恐らく世俗の目からすれば、まさしく八百長のように映ったのだろう。 科学的に理性の目で観察すれば、神懸かりな技であり、能舞台での能役者の立ち振る舞いそのものに近かったのだろう。 恐らく当…

老いぼれの夕雲考≪134≫*

川川村秀東 ( ひではる )は自著「辞足為経法前集」の中で師真里谷圓四郎義旭が先師小出切一雲を「相打ち」にて打ち負かし、終ぞ「相抜け」は成就し得なかったのだと記述したという。 恥ずかしながら、わたくしは明き盲 ( あきめくら )同然で古文書は読めな…

老いぼれの夕雲考≪133≫

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(59) 無住心剣術を編み出した針谷夕雲は愛弟子小出切一雲と共に「相抜け」の業を確立した。 ところが一雲はおのれの弟子真里谷円四郎には「相抜け」の業は成り立たず何と「相討ち」にて打ち砕かれるという恥辱を味わう。 燦然…

剣道はすごいぞ≪18≫

『剣道はすごいぞ』 ―伝統と文化を大切にしてよりよい日本国をめざそうー 本当の負け犬にならぬために 鈴木大拙先生は小出切一雲が著わした「夕雲流剣術書」を英文に表わし欧米に紹介された。 剣の極意が「相討ち」から「相抜け」へ昇華し浄化する事を逸早…

老いのひとこと

無断掲載 85歳の爺様が木刀で熊を退治したという。 熊は裏山へ逃げ去ったという。 此の爺様は相当に剣術には長けていられたに相違ない。 庭で熊に出くわしたので家から木刀を取り出されものか、それとも庭先で木刀を手に稽古に勤しんでいられた時に遭遇し…

老いぼれの夕雲考《108》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(34) 邪道に流される正統性=然るに師たる者は ㉗【早く師の目に入らば、左様の輩をば流を追放すること専用なるべし、始終名と利とを離れぬ名利の心あるくせに、必ず少しの所にわる我の強き者なれば、如ㇾ此の輩はいかほどに…

老いぼれの独り言

●初稽古 打ち合う響き 床揺らぐ 《二日県武へ初稽古に赴いた。両刀づかいとはゆくはずもなく居合の部にしぼり参加する。 三十名を越える精鋭たちが参集していた。 静寂の中、空気を断ち切る鋭き羽音を四方八方から捉える。 技の実力を囲う名士たちに取り囲…

老いぼれの夕雲考《107》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(33) 邪道に流される正統性=然るに師たる者は ㉖【人に依て初めては、心理を信仰して實事を望むふりに勉むと云とも、畢竟の内意は、巧者ならば人も教へ廣めて世上へ其名を顯し、當分流浪の間は弟子中の助力を受けて貧窮を救…

老いぼれの形稽古《27》

結びに当たり 千葉県市川市在住の加藤さんから実に重厚なるコメントを頂戴した。 それを無断でご披露させていただくことと致した。 わたしの拙い稿に一輪の花を添えていただき有終の美を飾ることが叶えられました。 篤く御礼申し上げたい。 【高橋さんの最…

老いぼれの夕雲考《106》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(32) 邪道に流される正統性=然るに師たる者は ㉕【面々の了簡を極意にして、名譽の上手に成て勝を樂んで、終に正理に迷ふ人も出來らんかと憚り恐るヽ所なり、第一當流修行の人は藝者の心を捨て、何とぞして兵法を藝になさぬ…

老いぼれの形稽古《26》

小太刀三本目 仕太刀が摺り上げ、摺り落とし、摺り流し、摺り込むの一連の動きのフイニッシュは摺り込むと同時に打太刀の右ひじ上部を逆手で捻り上げ腕を圧し折る気勢で完璧に自由を奪わねばならない。 最早この時点では剣術というより体術柔術の領域だ。 そ…

老いぼれ剣士の夕雲考《105》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(31) 針谷夕雲の遺志を継ぐ ㉔【夫に付思ふに、今予に直に相傳を受る人にも、面々の天機の得やうにて、理を説く所に變りはなけれども、聞得る所に少しづつの變りあるやうなり、又其人の他へ説き聞かせられ教へらるヽ上に、面…

老いぼれの形稽古《25》

小太刀二本目=その3 加藤さんから今回もコメントを頂いた。 後学のため参考にさせていただきました。 【小太刀の二本目の、打太刀が下段から刀身を仕太刀を攻めながら上げてくる時、仕太刀は最初小太刀の刃を下向きで迎えながら降ろし、打太刀の刀身が地…

老いぼれ剣士の夕雲考《104》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(30) 針谷夕雲の遺志を継ぐ ㉓【此器用人達そろそろ弟子を取扱うて世間へもひろめ、予が名も自ら顯れ、先師夕雲老後に自得せらるヽ所の妙術も是に依て世間へ流布す、今の勢を以て熟々考ふるに當流は水の初めてあふれ出でたる…

老いぼれの形稽古《24》

小太刀二本目=その2 先日拝見に与りました加藤さまからのリアルな解説に感服いたしました。 確認する意味でわたくしの所感を厚かましくものうのうと述べさせていただきます。 お許し願います。 両者間合いに接し、小太刀で太刀を制しながら入り身の気勢に…

老いぼれ剣士の夕雲考《103》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(29) 針谷夕雲の遺志を継ぐ ㉒【同志舊友時々需めて止まず默止する事あたはずして一二人も手引すと云ども緣に觸れてひたすら多くなり卅人に及べり、其中に性根の器用に依てか、自分の勝に本づき、他流の畜生兵法をばいか樣に…

老いぼれの形稽古《23》

小太刀の二本目=その1 仕太刀は刃の向きを斜め右下から下向きへ変化させ、打太刀の刀を制しながら入身になろうとする。 それを見た打太刀は透かさずに右足退いて脇構えとなる。 脇構えに変化した打太刀を見た仕太刀は間髪を入れずに入身で一歩攻め入る。 …

老いぼれ剣士の夕雲考《102》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(28) 針谷夕雲の遺志を継ぐ ㉑【予更に兵法を取廣むる心なく、只日夜に其理をたのしみて自己の飢寒を忘れ、卅九歳の時に深川に退去して姓名を改め、深く兵術を秘めあらはさず、年月を送るの所に、】 口語訳 当時の私は、更に…

老いぼれ剣士の夕雲考《101》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(27) わが師夕雲とはどのような人物か ⑳【相ぬけの日は夕雲いかゞ存ぜられけるか、懐中より念珠を取出して、予に向て香を焚て予を拜せらる、其年夕雲逝去せらる、】 口語訳 この相抜けが成立した日は、夕雲先生にとりてはい…

老いぼれの形稽古《21》

小太刀の部一本目=その1 打太刀左上段、仕太刀中段半身で剣先は打太刀眉間に付ける。 互いに三歩進み間合いに接するや仕太刀は入身にて打太刀眉間を突かんばかりの気勢を示せば打太刀の氷の刃が頭上に降り注ぐ。 其処へわが脳天を曝け出すや否や打太刀の…

老いぼれ剣士の夕雲考《100》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(26) わが師夕雲とはどのような人物か ⑲【夕雲已に六十餘歳、古き弟子一千四百人もあり、予が廿八歳の時初て謁し口授を請て、三十四歳の時夕雲と眞實のしあひを三度付けて三度ながら相ぬけをして、眞面目と云ふ印可の巻物を…

老いぼれの形稽古《20》

太刀の部7本目=その2 打太刀は二足一刀で左右と身を捨てて真向正面を打つ。 打ち切った瞬間は、目線は仕太刀より外れるが直ちに振り向きざま仕太刀へ注ぐ。 仕太刀は、振りかぶりつつ右足斜めへ開き体を沈めながら左足大きく右前へ送ると同時に手首返し…