老いぼれ剣士の夕雲考《101》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(27)
 
わが師夕雲とはどのような人物か
 
⑳【相ぬけの日は夕雲いかゞ存ぜられけるか、懐中より念珠を取出して、予に向て香を焚て予を拜せらる、其年夕雲逝去せらる、】
 
口語訳
この相抜けが成立した日は、夕雲先生にとりてはいかがあらせたことか、懐より数珠を取り出されて私に向かい香を焚きながら頭を深く垂れ下げて拝み続けるではありませんか。
その年に、私の師匠である針谷夕雲はご逝去された。享年七十歳であられました。
 
師生涯の眼目であり念願でもあった「相抜け」を私と共に成就し、今まさに神仏と化し入滅されたとしか言いようがない。
 
<夕雲は言う。人間の闘争をば極限まで追い詰めて、その道理を究めれば自ずと闘争心が萎えて消え去り、そこに「相抜け」が成り立つだと云う。そして、そのことを実践的に立証した人だ。
問題は、ここでいう「人間の闘争」をどことん追い詰めて道理を極める事の意味合いとその具体的な手順を体系化し理論武装することが適えられるかである。
「相抜け理論」が解明されれば、それは将にノーベル平和賞以上ではなかろうか。
今日も打ち続く地球上での人類の闘争史に大きなエポックを画し、画期的現象を来たすかも知れない。
そのような日本人たる逸材の輩出を強くこいねがう。
至宝、針谷夕雲を活かす手立てを講じなくてはならないと思う。>