#格闘技

老いぼれ剣士の夕雲考《99》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(25) わが師夕雲とはどのような人物か ⑱ 【故に前々の諸流を捨て、自己の禪味より得たる所の一法につづめて一生の受用とす、流と云べき樣もなければ名もなし、若し名付けば無住心劔術と云はんかとは虎白の仰せらるる名なり、…

老いぼれの形稽古《19》

わたしのブログ仲間、加藤さんより9月5日発信の七本目(その1)への貴重なるコメントを頂いた。 以下が、その全文である。 『あなたの剣道形の解説楽しみにしています。 太刀の形七本目は打太刀が二足一刀からまず左足で一歩攻め込み右足を出すと同時に…

老いぼれの形稽古《18》

太刀の部7本目=その1 七本目で仕太刀が胴を切るに際し、手首の返しを90度にして真横に切り離すのか、それとも手首の返しを45度にして袈裟に切り右膝着床時に刃先を右水平へ向けるように修正を試みればよいものか、当方は後者の方が自然な振る舞いの…

老いぼれ剣士の夕雲考《97》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(23) わが師夕雲とはどのような人物か 真の勝利とは ⑯【一旦豁然として大悟し、兵法を離れて勝理明かに、人生天理の自然に安座して一切の所作を破り、八面玲瓏物外獨立の眞妙を得られたり、】 口語訳 そして、夕雲はある日の…

老いぼれの形稽古《17》

太刀の部6本目=その2 攻め入られたので、打太刀さらに左足退いて中段へ変化し、間を置くことなく小技の小手へゆく。 此処では、打太刀が「機を見て」の技となる。 打太刀は攻められている中にも、攻めて仕太刀の出頭を捉えんとの気迫が見て取れるよう演…

老いぼれ剣士の夕雲考《96》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(22) わが師夕雲とはどのような人物か 真の勝利とは ⑮【それより此方時々刻々工夫修行して畜生心を離れ所作を捨て、自性本然の受用の中より勝理の備はる事を自得せんと研究せらるるに、】 口語訳 このようなことを十分に心得…

老いぼれの形稽古《16》

太刀の部6本目=その1 六本目で、仕太刀は下段から打太刀の鍔元目指してじりじりと攻め上げてくるので、打太刀耐え切れずに右足退いて左上段にて退くとある。 これは、此処で初めて仕太刀の方から「機を見て」、下段からの鋭く突き上げる攻めの気勢を示す…

老いぼれ剣士の夕雲考《95》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(21) わが師夕雲とはどのような人物か 夕雲の言う畜生心とは ⑭【多くは只畜生心にて己に劣るには勝ち、勝るには負け、同様なるには相討の外なく、一切埒のあかぬ所の有ぞと云う事を心付きて、】 口語訳 加えて夕雲は、現今存…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《94》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(20) わが師 針谷夕雲はどのような人物か ⑬ 【人生天理當然の性の愛用(受用)にあらず、】 口語訳 夕雲は更に、天地創造の宇宙空間に一つの理 (ことわり)というものがあるのだという。 要するに、宇宙の真理とか法則が存…

老いぼれの形稽古《14》

太刀の部5本目=その1 五本目では、云うまでもなく打太刀は打ち間まで入り、右足を踏み込みながら仕太刀の正面を顎まで切る心づもりで斬りにゆく。 仕太刀は、剣先を打太刀左拳に付けて間合いに進み、刃が若干左下に向いた状態のまま体を退き表鎬(左鎬)…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《93》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(19) わが師 針谷夕雲はどのような人物か ⑫ 【禪學の意味より兵法を窺ふときは、元祖上泉をはじめ外の戸田も卜傳も、自己の師玄信が心入も八寸の延がねも、みなことごとく妄想虛事の類にて、】 口語訳 針谷夕雲の剣理 禅の教…

老いぼれの形稽古《13》

太刀の部4本目=その3補遺 双方、表より真向に切り結び互いに鎬を削りながら相中段に至る。 その刹那、仕太刀刀圧弛めて誘った瞬間打太刀は先を取って突いた。 仕太刀は、その突きを咄嗟に巻き返し面を打ち下した。 明らかに、教本通りに剣の理合いを突き…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《92》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(18) わが師 針谷夕雲はそのような人物か ⑪ 【此禪師にひしと歸依して、本則十二三則も實參を遂げて、】 口語訳 夕雲先生は、この虎白禅師の教えに従い其の威徳を仰ぎ仏道に改宗された。 そして、自ら参禅して十二三もの古則…

老いぼれの形稽古《12》

日本剣道形稽古心得覚書 太刀の部4本目=その2 その間の気位は両者対等なのである。 そして、両者やるかやられるかの気迫で鎬を削りながら相中段に至る。 刀圧を両者ともに手元に感じながら、仕太刀が咄嗟にその刀圧をやや弛めた瞬間に打太刀は刃を右して…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《91》

虎白禅師 夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(17) わが師 針谷夕雲とはどのような人物か ⑩ 【予が先師夕雲は、十三四歳より兵法品々を習ひ、後に小笠原が弟子に成つて神陰を傳へ、八寸の延がねの秘傳まで殘らず請け繼いで、初の内は小笠原が弟子の中にて二人三…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《90》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(16) 夕雲の師匠小笠原源信齋 ➈-4 【歸朝の後上泉傳の古き相弟子共に立合ひ、八寸の延がねを試るに、一人も手に障るものなく、恐らくは先師上泉が存生にて立向ふと云とも上泉に勝は取せまじ物をと思ふ程の道理を發明して、…

老いぼれの形稽古《10》

日本剣道形稽古心得覚書 太刀の部3本目=その2 そして、空 ( す )かさず応じ返す。つまり、突き返す。 そこは、二度突きではないにしても余勢で以って位 ( くらい )詰 ( つ )めに激しく攻め上がり切先を眉間 ( みけん )に付けて残心に至る。 打太刀は右足…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《89》

夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(15) 夕雲の師匠小笠原源信齋 ➈-3【玄信は又彼者の弟子に成って戈の術を習ひ、師を互いに藝がへしにして修行する中に、玄信は戈の術の八寸のかねと云ことを神陰へ用ひて、以ての外に勝理の益なる事を自得す、】 口語訳 源…

老いぼれの形稽古《9》

日本剣道形稽古心得覚書 太刀の部3本目=その1 三本目では、間合いに接するや相中段から打太刀は刃を右斜め下に向けつつ仕太刀の水月を突く。 仕太刀はそれを刃先右下にして入れ突きに萎 ( な )やし、すぐさま刃を真下にして打太刀の胸部へ突き返す。 こ…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《88》

張良像 劉邦に仕えた軍師(?~紀元前186年) 夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(14) 夕雲の師匠小笠原源信斎 ⑨-2 【小笠原は入唐して異国の武士に交て日本流の神陰流兵法を指南して居住する中に、不慮に張良が末孫なりと云う者弟子の内に有って、委く尋…

老いぼれの形稽古《8》

日本剣道形稽古心得覚書 太刀の部2本目 二本目では、振りかぶる折に切っ先が左拳より下がらないようにしなくてはならない。 打太刀の刀は水平もしくは太刀巾分切っ先が下がるのだという。 もちろん、左足引付的確に行うべし。 仕太刀は、小手を斬られる寸…

老いぼれへぼ剣士の形稽古《7》

日本剣道形稽古心得覚書 太刀の部1本目=その2 極力間合いを詰めた打太刀は、切っ先をして大きく弧を描くように、引き切りを敢行しなくてはならない。 その際に必ずや左足の引付を的確に行わねばならない。 まさに気剣体一致の技が要求されよう。 仕太刀…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《86》

奥山休賀斎の佩刀ー銘が薬王寺 三河薬王寺派とある 夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(12) 上泉の直弟子 ⑧-3【戸田は加賀の國へ行て、如何なる故あつてか遂に戸田流の家を相續す、】 口語訳 富田勢源(戸田)は加賀の国へ行って、如何なる訳があつてか終いに…

老いぼれへぼ剣士の形稽古《6》

日本剣道形稽古心得覚書 実技上の心得 太刀の部1本目=その1 一本目での留意事項は、まず打太刀は左上段で間合いに進み右足を大きく前へ踏み出しながら、仕太刀の柄諸共脳天に斬り込み臍まで切り裂かねばならない。 空間打突では話にならない。仕太刀の正…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《85》

石舟斎役にぴったりだった故藤田まことさん 夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(11) 上泉の直弟子たち ⑧ の2【柳生は當御家へ召出されて、此亦弟子の中に品々の所得ある者出で、流の名を改て樣樣にあつかう、】 口語訳 言うまでもなく、この柳生石舟齋宗厳は上…

老いぼれへぼ剣士の形稽古《5》

日本剣道形稽古心得覚書(5) 一般的な心得 四つ 或る先達の言に従えば、「先先の先」の技にて執り行なう一・二・三・五本目では、仕太刀は打太刀の打突をあらかじめ予知して、それを外して勝つの意味なのだとおっしゃる。 また「後の先」にて執り行なう四・六…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《84》

疋田文五郎 夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(10) 上泉の直弟子たち ⑧の1 【其中に疋田文五郎、戸田清源、柳生但馬、小笠原玄信と云う者印可を取たり、疋田は兩國筋に住居して指南し、其流派はびこりて品々に分れ、種種の流の名あり、】 口語訳 その中にあっ…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《83》

飯篠長威斎ゆかりの香取神宮 愛洲移香ゆかりの鵜戸神宮 夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(9) ⑦ 【上泉は世間の流にすぐれて所作上手にて、道理も向上なるによりて諸人信仰す、初めは神刀流なれども、所得の事有って神陰と流の名を改めて、諸國を修行して、後…

老いぼれへぼ剣士の形稽古心得《3》

日本剣道形稽古心得覚書(3) 一般的な心得 二つ 木刀を携えて舞いを舞うではない。真剣そのものに、しかも誠意ある態度で臨場感を演出すべきと思う。 打ち間まで入って打突部位を打突箇所 で大技で振り抜き、寸止めを敢行する。 云う所の一拍子の技が要求…

老いぼれへぼ剣士の夕雲考《82》

前橋市上泉町 上泉秀綱像 夕雲流剣術書 小出切一雲 誌(8) 上泉伊勢守秀綱の登場 ⑥【秀吉の天下を治め給ふ時分にあたって、鹿島の生れに上泉伊勢と云う者有りて兵法中興の名人なり、夫迄日本に有る流には、鹿島流、香取流、神刀流、戸田流、卜傳流、鞍馬流…