老いぼれ剣士の夕雲考《99》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(25)
 
わが師夕雲とはどのような人物か 
  
⑱ 【故に前々の諸流を捨て、自己の禪味より得たる所の一法につづめて一生の受用とす、流と云べき樣もなければ名もなし、若し名付けば無住心劔術と云はんかとは虎白の仰せらるる名なり、】
 
            口語訳
 
それ故に、わが師針谷夕雲はかつて学んだ新陰流や真新陰流などの流派の剣技をかなぐり捨てて、おのれの禅修行によって自得した脱俗の境地から唯一絶対の真実を生涯追い続けた方なのである。
流派を名乗るべき必要性はないのだが、若し強いて名付けるとすれば無住心剣術とでも言って置こうか。
これは虎白禅師が仰せられた名前なのであります。
無住心剣とは金剛経の要文に見る、“まさにとどまる所、つまり執着する所なくして、その心を生ずべし”によるもので沢庵禅師の不動智神妙録の冒頭にも掲げられている文言なのです。