老いぼれ剣士の夕雲考《96》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(22)
 
わが師夕雲とはどのような人物か
 
真の勝利とは
 
⑮【それより此方時々刻々工夫修行して畜生心を離れ所作を捨て、自性本然の受用の中より勝理の備はる事を自得せんと研究せらるるに、】
 
口語訳
 
このようなことを十分に心得られて、それからというものは時時刻刻として工夫を重ね修行を積まれたのである。
仏教での業報の教えにいう、色欲や食欲などの本能的欲望から悪業を行えば、来世においては地獄・餓鬼・畜生の三悪趣に生まれ変わり責め苦に苛まれるのだという。
彼の吉田兼好徒然草にて《大方、生きているものを殺し、痛めつけ、闘わせて遊び楽しまんするような人たちは畜生残害の類なり》と表したのだという。
夕雲は、この畜生心を離れ剣の術技としての所作をも捨て去って、自性本然の受用の中より勝利に結び付ける事を自身の手で会得せんと研究に没頭されたのであります。