老いぼれ剣士の夕雲考《97》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(23)
 
わが師夕雲とはどのような人物か
 
真の勝利とは
 
⑯【一旦豁然として大悟し、兵法を離れて勝理明かに、人生天理の自然に安座して一切の所作を破り、八面玲瓏物外獨立の眞妙を得られたり、】
 
口語訳
 
そして、夕雲はある日の朝方、突然迷いから覚めて悟りの境地に達したのでした。
つまり、それまでの既存の諸兵法に捉われる事無く、勝利の理を明らかにして行ったのであります。
そして、人生たるもの須らく人為でない天然自然の道理にのみ安らかなる ( くつろ )ぎを見い出して、一切の兵法とか剣技の所作を全て破り捨て去り、八面 ( はちめん ) ( れい ) ( ろう )物外 ( ぶつがい )獨立 ( どくりつ ) ( しん ) ( みょう )を遂に自得されたのである。
すなわち、心の曇りやわだかまりもない、世俗を超越した状態の中から、私の師匠である針谷夕雲は真実の「剣の妙案」を自ら獲得されたことになるのであります。