老いぼれの夕雲考《114》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(40)
 
畜生兵法をば酷評す
 
【如何となれば兵法大概は、如ㇾ此迷暗邪曲なる畜生心所作二心を移して工夫の種として、或は獅子奮迅、飛蝶、虎亂、猿飛、雷電、蜘蛛などとて品々の畜生働を學び、猶も向上に云はんとては、夢中に神に告げられたるの、或は山籠りして天狗の相傳を得たりなどと云うて、】
口語訳
 
何となれば、兵法たるもの大概は相手の目をごまかすために偽装したり、姑息にして邪悪な畜生たちの動作やしぐさを参考にいろいろ工夫し、心血を注いでいるではないか。
例えば、獅子奮迅・飛蝶・虎乱・猿飛・雷電・蜘蛛などとてみんな各種の畜生たちの動きより学んだものに違いはない。
そして、猶もそれ以上に誇張せんがため、夢の中で神に告げられたとか、山篭りをして天狗から相伝を得たなど言い触らす訳ではありませんか。