老いぼれへぼ剣士の夕雲考《94》

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夕雲流剣術書      小出切一雲 誌(20)
 
わが師 針谷夕雲はどのような人物か
 
 【人生天理當然の性の愛用(受用)にあらず、】
 
口語訳
 
夕雲は更に、天地創造の宇宙空間に一つの理
(ことわり)というものがあるのだという。
要するに、宇宙の真理とか法則が存在するのだといわれるわけだ。
この理という宇宙の真理や法則は、人の身体に入って性(さが)と言い換えられ、この性は持って生まれた宿命とか性格や習癖のことであるのだという。
また、この性には色もなく形もなく空にして目に見えぬものなのだともいう。
でも、指の先や爪の端にまで、この性が行き渡っているのであって、この性のない所は力が抜けぐったりとして、頭の働きもなくなってしまうのだといわれる。
そして、この天地創造の宇宙空間に於ける理を動かす作用を気と呼び、人の身体にある性を動かす作用の要を心と呼んで区別なされた。
此処に見える夕雲のこのような哲学的な思考の経路は、名僧沢庵の著述『理気差別論』の中でも見出すことが出来るのであります。
此のくだりは“人生天理当然の性の受用にあらず”という記述で以って表現されるのです。
 
『神の粒子』と呼ばれる『ビックス粒子』の一大発見を針谷夕雲は如何様に観察し評価したものだろうか、伺い知りたい。