老いぼれの夕雲考《117》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(43)
 
人間は万物の霊長なり
 
【人と云ふは元來萬の靈長たり、其靈なる仔細は、未だ世を受けざる以前に天にそなはる理と云ふものあり、這の理中には元亨利貞の四徳そなはる、其天の理を感得して人と生るヽ時、性と云もの備はる、此則は天理中の元亨利貞、人性中の仁義禮智更に別ならず、此性全く備る故に、萬物の中の靈長たり、】
口語訳
人間は万物の霊長であると昔から言われる。
その霊とは何ぞや。
そのいわれや詳細は如何なることなのでしょうか。
未だ、此の宇宙に生命が生まれる以前において天には既に理と称するものが存在しました。
此の理の中には、
(げん=始=春=仁)・
(こう=長=夏=礼)・
(り=遂=秋=義)・
(てい=成=冬=智)の四つの徳が具わっていました。
その天の理を感じ取って人として生まれる時に、その人にというものが具わるのであります。
その性の中に、仁義礼智の四つの徳が具わっているのです。
即ち、天理の中の元亨利貞と、人性の中の仁義礼智は言うまでもなく別物ではありません。
同名異体なのであります。
此の仁義礼智の四つの徳が具わるが故に、人は万物の霊長なのであります。