老いぼれ剣士の夕雲考《103》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(29) 
針谷夕雲の遺志を継ぐ 
㉒【同志舊友時々需めて止まず默止する事あたはずして一二人も手引すと云ども緣に觸れてひたすら多くなり卅人に及べり、其中に性根の器用に依てか、自分の勝に本づき、他流の畜生兵法をばいか樣にも自由三昧に扱ふ人四五人も出來たり、】
口語訳
その内、かつての旧友からの薦めもあって、やむなく一人二人を門下生として手ほどきをするうちに、それが縁となって次第に人数が増え三十人に及んでしまいました。
その中には性根が優れているのか、自分の勝負勘に基づき他の流派の畜生剣法をば自由自在にあしらうほどの実力者が四五人輩出したのでした。
先ず、私の門弟である真里谷圓四郎義処を筆頭に浪士の身ながら宇野小軒、鷲尾八兵衛と旗本の肩書きを持つ佐野勘左衛門と秋田淡路守殿のご家来田川七右衛門の四名であります。