老いぼれの夕雲考《108》

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夕雲流剣術書        小出切一雲 誌(34)
 
邪道に流される正統性=然るに師たる者は
 
㉗【早く師の目に入らば、左様の輩をば流を追放すること専用なるべし、始終名と利とを離れぬ名利の心あるくせに、必ず少しの所にわる我の強き者なれば、如ㇾ此の輩はいかほどに勉めても、當流の半途にも及ぶ可らず、去りながら面々君子の生れ付きは稀なる者なれば、我も人も名利は望みにて、諸事に我執も強きものなれども、】
 
口語訳
 
このような不逞の輩を、師匠たるものが気付いたならば、即刻追放して然るべきなのです。
 
明けても暮れても名利にきゅうきゅうとし、名利の心ありありの者たちはいるものだ。
また、とても些細な事柄にも我を張り悪賢く立ち振舞うような奴らはいかに真面目に奉公していたにしても、当流では半人前にも及ばないということになっているのです。
とはいっても、こういった人たちは生まれたときから君子のような人徳高き人は極めて稀なのであって、誰しも名利に望みを抱くのは当り前だし、物事に我執を張るのも決して珍しいことではないとは言えましょう。