雑草園顛末記《26》

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㉖雪囲い
かつて仕事をしていた頃には中産階級を自負し藤井造園に雪吊りを頼んだこともあったが今やその気はないし必要もない。
とにかく庭一面が、呆れるほどに荒れ放題のままだ。
それでも、一向に気にならないし気にもしない。
もはやとっくの昔にわたしからは見栄や外聞、プライドや自尊心は何処かへ素っ飛んで行ってしまって姿も形も影もない。
但し、南天の木にだけは格別の配慮を施すことにしているのです。
というのも、此の木には「難を転ずる」災難除けの意味合いがあるという。
兎にも角にも災難続きの我が身には魔除けが欲しい。
(わら)すべにもしがみ付く想いで、わたしはこの南天の木に (こだわ)るのです。
雨気の湿雪が枝葉に降り積もれば、覿面 (てきめん)に幹を ()し折ってしまう。
南天の木に災難が及べば此れ一大事とわたしは毎年自分の手で雪害予防の雪吊りを施すのです。