老いぼれの弓事始め《25》

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㉓10月29日
 予てより諸先生方より、巻き藁射法に研鑽を積むのも大いに結構だが、正式な射位から的を射る経験も必要でしょうとの温かき推奨の言葉をいただいていた。
 その度毎に、当方はまだまだその領域に達していません、そのような存在にはありませんと辞退申してきた。
 云う処の謙譲の美徳を楯に取って、いい子ぶりっ子の振りをしていたのかもしれない。
 半面、自分の矢が安土まで届くや否や確認してみたい心情は隠せなかった。
 
 本日それを願い出て、二本番え射てみた。
 かろうして何とか届いたようだ。
 とにかく安堵した。
 自分なりの収穫を意識した。